遊びのなかの色と形 クルト・ネフ&アントニオ・ヴィターリ(1/7 ページ)

» 2010年08月26日 08時00分 公開
[上條桂子,エキサイトイズム]
エキサイトイズム

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※この記事は、エキサイトイズムより転載しています。


 世界有数の木製玩具メーカーとして知られるスイスのネフ。創業者であり玩具デザイナーであるクルト・ネフ氏と、同じくネフから良質な玩具を発表したデザイナーのアントニオ・ヴィターリ氏。プロダクトや建築、多くのデザイナーに影響を与えた2人の日本初となる大規模な展覧会「遊びのなかの色と形〜クルト・ネフ&アントニオ・ヴィターリ」展が東京・目黒の目黒区美術館で開催中だ。

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 ネフといえば、デザイン玩具やバウハウスデザインが好きな人はピンとくると思うが、単なる玩具メーカーではない。創業者のクルト・ネフ氏は、もともと家具やインテリアデザインを修めており、北欧家具や雑貨の輸入業を営んでいた。顧客の1人に「世の中には、美しい食器や家具があるのに、美しい玩具がない。この店にふさわしい玩具を作るべき」といわれたのがきっかけで、1958年に「ネフ・スピール」というリボン型の積み木を作る。これがネフの誕生である。その後、良質な素材と高いデザイン性を持つネフの玩具は、決して大衆向けではないがじわじわと世界中にファンを醸成していった。

 展覧会は3つのパートで構成されている。ネフの創始者クルト・ネフ氏の作品および、ネフの作品で構成された「クルト・ネフの世界」、そして、ネフのデザイナーとしても活躍し、寡作ながらも非常にこだわりの強いモノ作りをしたデザイナー「アントニオ・ヴィターリの世界」、そして目黒区美術館で収集を続けてきたおもちゃを集めた「トイ・コレクション&ワークショップ・コレクション」だ。

 まずは「クルト・ネフの世界」へ。「Naef-spiel」(1958年)。最初に作られたネフ・スピールである。このリボン型のパーツを組み合わせて立体を構成する。パーツの向きや組み方によって面白いかたちができあがる。この初期のデザインは、切れ込みの角度が浅い(110度)。その後何度も改良を重ねられており、現在切れ込みの角度は90度。切れ込みの先端部分は積み上げやすいよう平らになっている。

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 こちらが現在のネフ・スピール。少しずつ異なるのがお分かりいただけるだろうか。

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