景気回復鈍化懸念が強まり、信用収縮の動きもあって大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年08月25日 09時17分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10040.45▼133.96

<NASDAQ>2123.76▼35.87

<為替:NY終値>83.92-83.98

住宅関連指標の悪化から景気回復鈍化懸念が強まり、信用収縮の動きもあって大幅下落

 朝方発表された中古住宅販売が予想を大きく下回り、景気回復鈍化懸念が強まり、世界的な資金の滞りが懸念されてリスク回避の動きも強まって、大幅下落となりました。さすがにダウ平均が一気に10000ドルを割り込むところでは買い戻しや値ごろ感からの買いも入るようですが、買い戻し一巡後は戻りも鈍くなるとう展開で景気敏感銘柄を中心に売られ、ほぼ全面安となりました。米国内需の回復の遅れを取り戻すように海外での収益増を狙ってドル安が放置されている面もあり、リスク資産からの資金流出が強まるということなのでしょう。

 住宅関連の指標が悪化、典型的に米国内での資金移動がうまく行っていないことが露呈したことで、景気回復鈍化やドル資産やリスク資産からの回避の動きが出たものと思います。多分に投機的な動きもあるのでしょうが、日本政府などの無策ぶりから円の方向性が円高方向に向かっているとして円に対する「安心感」が出ているのかもしれません。米国内需の芳しくない動きを見て、市場ではドル安容認という方向に向かっているものと思います。

 個別には特に大きく下げて相場の足を引っ張っているようなものが見られないのですが、キャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)、アルコアなどといった景気敏感株の下げがきつく、インテルやIBM、アップルなどハイテク銘柄やJPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカなど金融株が軒並み軟調となっています。一方で、コカ・コーラやウォルマート、クラフト・フーズといったディフェンシブ銘柄が買われ、四半期決算で一株利益が予想を上回ったバーガー・キングが買われました。安全資産、ドル安へのヘッジとして金が買われましたが、商品相場自体は軟調となっていたこともあり、大きな下げではありませんが、パブリック・ゴールドなど金鉱株も軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株安や円高に加え、政府・日銀から何の対策も出てこないことからの失望売りもあり節目と見られる9000円を割り込んで大幅下落となりました。特に売り急ぐというようなこともなかったのですが、円高が止まらない事で業績懸念が強まり、株価が下がることでますます先行きに対する懸念が強まって売られてしまうという展開となりました。買い戻し一巡感や9000円を割り込んだことからの達成感で底堅さが見られる場面もありましたが、政府の無策を嫌気するように戻りの鈍さから売り直されて大幅安となりました。

 昨日の大幅下落の反動や政府・日銀の対策期待の反発が期待されますが、米国株が大幅下落となったことや信用収縮の動きが見られることから、売り先行となりそうです。具体的に為替の介入から円安方向に振れるとか、追加緩和が具体化されて信用収縮懸念が薄れ、円キャリー取引などが見られれば戻りを試すことになるのでしょう。足元の業績が良い中でここまで売られたということでそろそろ売り難さが出てもいいのでしょうが、円高が放置されるようであれば業績下振れ懸念が強まり、更に売り直されることになるのでしょう。金利低下や円高メリットのある銘柄の底堅さが期待されます。

 日経平均の9000円水準は割り込まないと思っていたのですが、あっさりと割り込んでしまいました。足元の業績面からは割安感もあり、為替さえ落ち着けば買い直されて9500円〜600円水準までは戻るのでしょうが、9200円水準での節目を割り込んだことでちょっとした対策で為替が少し戻った程度であれば9200円水準が上値となってしまうかもしれません。いずれにしても下値を探る展開ということですが8800円から900円の水準で底値を確認するような動きとなるものと思います。

本日の注目点

◇7月の貿易統計(財務省)

◇7月の企業向けサービス価格指数(日銀)

◇タイ中銀金融政策委員会

◇8月の独Ifo企業景況感指数

◇7月の米耐久財受注額

◇7月の米新築住宅販売件数

◇米5年物国債の入札

◇海外6月期決算:BHPビリトン

◇海外4−6月期決算:JDSユニフェーズ

◇海外5−7月期決算:トール・ブラザーズ

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