コラム
» 2010年08月25日 08時00分 UPDATE

成果主義がうまくいかなかった最大の理由 (1/2)

評価が良かったり悪かったりした結果が処遇差となって反映されるなら、競争が起こり、やる気や危機感が醸成されやすくなって、成果主義は当初の狙い通り機能したはずだ。しかし、なぜ機能しない例が多く見受けられるのだろうか。

[川口雅裕,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール

川口雅裕(かわぐち・まさひろ)

イニシアチブ・パートナーズ代表。京都大学教育学部卒業後、1988年にリクルートコスモス(現コスモスイニシア)入社。人事部門で組織人事・制度設計・労務管理・採用・教育研修などに携わったのち、経営企画室で広報(メディア対応・IR)および経営企画を担当。2003年より株式会社マングローブ取締役・関西支社長。2010年1月にイニシアチブ・パートナーズを設立。ブログ「関西の人事コンサルタントのブログ


 「成果主義が機能しなかった」という指摘は、多くの場合「処遇を成果に連動させるようにしても、従業員のやる気や危機感はそれまでと比べてさほど変わらなかった」という結果のことを言っているのだろうと思います。

 成果を上げればこれまでより給与や賞与が上がり、昇格もするが、成果が上がらなければこれまでより下がる、つまり「成果によって処遇の差を広げますよ」という仕組みにすれば、多くの人がより高い処遇を目指してやる気になったり、処遇が悪くなることに危機感を抱いたりして頑張るのではないか、結果として全体の業績も上がっていくのではないか、というのが成果主義にかけられた期待でした。しかし、そうはならなかった。

 ほとんどの企業で見落とされたのは、「成果を上げる人はいつも成果を上げ、成果が上がらない人はいつも成果が上がらない」という場合に、処遇を成果に連動させる仕組みが従業員にどのように受け止められるのか、という観点です。

 出来る人はいつも何をしても出来る。そうでない人はいつもうまくいかない。評価が高い人と評価が低い人が大体決まってしまっているとどうなるか。学校の通知簿と同じで、高い評価を得るたびにどんどんやる気になることも、低い評価をされるたびに危機感が増していくこともありません。給与が何倍にもなったり、クビになったりするほどの差があれば別ですが、そうでもない限りは、評価や処遇が良いにしろ悪いにしろ、それにすぐに慣れてしまい、毎度のこととして無感動・無関心になっていってしまいます。

 つまり、成果主義がみんなの頑張りにつながらなかったのは、「評価結果が固定化してしまっている」ことが原因です。「成果を上げる人はいつも成果を上げ、成果が上がらない人はいつも成果が上がらない」のであれば、処遇の格差を多少広げたって、その差はいつものことであってやる気にも危機感にも大した影響がないのは当然です。

 逆に言うと、評価がその度ごとに良かったり悪かったりして入れ替わり、その結果が処遇差となって反映されるのであれば、給与が上がったり下がったりして競争が起こり、やる気や危機感が醸成されやすく、成果主義は当初の狙い通り機能したのではないでしょうか。

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