大臣を逃がしている自覚がない? つまらない質問をする記者たち上杉隆の「ここまでしゃべっていいですか」(7)(3/3 ページ)

» 2010年08月25日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]
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窪田:卑怯原稿の塊なのですが、新聞記者的にはちょっとしたステータスになったりしている。「ちょっとオレ……『選択』に頼まれちゃったよ」といった感じで(笑)。

上杉:ボクはニューヨーク・タイムズに入った1999年以来、一度も匿名で書いたことがない。コメントも名前が掲載されない原稿については、一切協力しませんでした。でないと相手も反論のしようがない。なぜこのように対応しているかというと、秘書時代に“汚い”記者を散々見てきたから。

窪田:自分の名前を出さずに匿名で書くという行為は、官僚的なのかなあと思いますね。自分は安全なところにいるのにもかかわらず、「オレにも記者魂があるから、これだけは言わせてくれ」といった人がいる。だったら自分の名前を堂々と出せばいいだけのこと。

上杉:記者が集まっているバーに行くと、そのようなことを言っている人がいますね。ただ当事者が目の前に現れると、静かになったりする(笑)。例えばボクが会見に行くと、普段は気軽に話しているのに無視する人がいる。周囲の目が気になるんですかねえ。

窪田:その人は上司の目が気になるんじゃないでしょうか? 「お前、さっき上杉と何を話してたんだ」と聞かれたりするんで。

上杉:記者クラブ問題のときも多くの人から無視されましたが、今回の官房機密費の方が多いですね。それだけみんな怒っているのかなあ。

 →続く

3人のプロフィール

上杉隆(うえすぎ・たかし)

1968年福岡県生まれ。都留文科大学卒業。NHK報道局勤務、衆議院議員・鳩山邦夫の公設秘書、ニューヨーク・タイムズ東京支局取材記者などを経て、2002年からフリージャーナリスト。同年「第8回雑誌ジャーナリズム賞企画賞」を受賞。著書に『官邸崩壊 安倍政権迷走の一年』(新潮社)、『ジャーナリズム崩壊』(幻冬舎新書)など多数。

相場英雄(あいば・ひでお)

1967年新潟県生まれ。1989年時事通信社入社、経済速報メディアの編集に携わったあと、1995年から日銀金融記者クラブで外為、金利、デリバティブ問題などを担当。2005年に『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビュー。2006年末に同社退社、執筆活動に。著書に『株価操縦』(ダイヤモンド社)、『偽装通貨』(東京書籍)など多数。

窪田順生(くぼた・まさき)

1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、フライデー、朝日新聞、実話紙などを経て、現在はノンフィクションライターとして活躍するほか、企業の報道対策アドバイザーも務める。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術 』(講談社α文庫)などがある。


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