米国株安や円高に加え、経済対策などが見られないことが嫌気されて大幅安清水洋介の「日々是相場」夕刊(1/2 ページ)

» 2010年08月24日 16時09分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

市況概況

日経平均 8995.14円 ▼121.55円
売買高 15億1009万株
日経平均先物 8970円 ▼130円
売買代金 1兆0363億円
TOPIX 817.73 ▼7.06
値上がり銘柄 468銘柄
東証マザーズ指数 366.53 ▼10.70
値下がり銘柄 1057銘柄
日経ジャスダック平均 1167.67円 ▼6.01円
変わらず 143銘柄
騰落レシオ 81.79% ▼0.27%

日経平均

米国株安や円高に加え、経済対策などが見られないことが嫌気されて大幅安

 米国株が軟調、為替も円高に振れたことが嫌気されて売り先行となりました。心理的な節目と見られる日経9000円の攻防という局面、為替も心理的な節目である1ドル=85円を割り込むような局面にもかかわらず、政府・日銀の金融当局サイドから何も策が示されないことなどから、企業業績の落ち込みに対する懸念が強まり、売り急ぐ展開となりました。外国人売買動向(市場筋推計、外資系10社ベース)も引き続き売り越しと伝えられたことも目先筋の売りを誘い、閑散とした相場の中で指数を下押す要因となりました。

 株価が軟調、為替もいっこうに円高が止まらないことから見切り売りが出て9000円を割り込みましたが、9000円を割り込んだところでは目先的な達成感もあり、売り方の買い戻しで底堅い展開となりました。ただ、後場に入って寄り付きは買戻しが優勢となりましたが、買戻しが一巡となると、戻りの鈍さを嫌気するように円高が進み、ますます手仕舞い売り、見切り売りがかさみました。さすがに9000円を割り込む場面では買戻しも入り、売り込み難そうなのですが、買い急ぐ動きは全く見られず軟調な地合いが最後まで続きました。

 小型銘柄も見切り売りに押されるものが多く、東証マザーズ指数は大幅下落となりました。円高を嫌気して売られたと言うことでもなく、値動きの悪さを嫌気するような面もあり、日経ジャスダック平均も小口の手仕舞い売りに押されて軟調となりました。先物へのまとまった売りはそれほど多いものでもなく、大きく指数を動かすような場面はほとんどありませんでした。節目と見られる9000円の攻防と言う割にはまとまった売り買いは見られず、方向感のない展開で目先筋の売り買いが中心となっていたものと思います。

 政府の無策ぶりは昨日の下落で織り込まれていたのかと思いましたが、更に円高に振れても、株価が節目を割り込んでも政策面での反応はなく、売り易くなってしまったようです。ここまでは対策期待もあり、売り方としても9000円水準では売り難い面はあったのでしょうが、株安円高を容認するかのような政府当局の態度を見ると、安心して売れる、逆に不安が強く、持ちきれないと言うことなのだと思います。業績不安が云々というよりは株価下落に対する不安そのものが買い手控え要因となり、売り要因となっているものと思います。

テクニカル分析

日経平均

NYダウ

 ついに9000円を割り込みました。この水準が底値になるのかどうかが注目されるところですが、明日堅調となるようであれば、ここが底値となるのではないかと思います。明日も9000円を回復せずに引けると更に下値を試す動きとなりそうです。RSIもストキャスティックスも戻りかけたのですが、再び下値を探る動きとなりましたが底値圏にあり、いったんはここから底堅さも見られるものと思います。

TOPIX

NYダウ

 安値更新となりました。「十字足」のような格好であり、明日高く始まるようであれば、底入れとなる可能性もありそうですが、RSIもストキャスティックスも下げ足りない感もあり、まだまだ下値を探る動きが続き、日柄か値幅の調整となる可能性もありそうです。

円相場

NYダウ

 底値圏でのもみ合いが続いています。大きく下押すこともなくRSIがじりじりと上昇しているように、底堅さは見られるのですが、買いが入りません。いったんストキャスティックスが底値になる、あるいは遅行線が日々線に絡むところまで動き難いということなのかもしれません。

銘柄ピックアップ

好材料への反応が鈍い

丸 紅(8002) 447 ▼11

 チリで新たな銅鉱山の開発に参画すると新聞で報じられ、銅の需要が伸びる中で収益拡大は期待されたのですが、地合いの悪さに押されて反応は鈍く、軟調となりました。

川 重(7012) 220 ▼2

 欧エアバスの次期主力中型旅客機向けにエンジン部品の新工場を新設すると新聞で報じられましたが、特に材料視されることなく業績拡大が期待されるにもかかわらず軟調となりました。

サイゼリヤ(7581) 1683 △43

 2010年8月期の連結営業利益が前期比5割増となりそうだと新聞で報じられて堅調となりました。ここのところ軟調となっていたことや円高メリットが見込める銘柄ということもあり、総じて軟調な中で目先筋の買いも集まったものと思います。

日触媒(4114) 761 ▼69

 昨日の引け後に公募増資などでの資金調達を発表、株式価値の希薄化を嫌気した売りなどに押され、大幅下落となりました。調達額が小さいことや成長期待も強いことから底堅さも見られました。

東芝機(6104) 269 ▼3

 受注回復が続く工作機械や建設機械の一部で基幹部品の調達が難しくなっていると新聞で報じられ、部品不足の長期化から機会損失懸念が強まり、地合いの悪さもあって軟調となりました。

第一三共(4568) 1678 △39

 ほぼ全面安の中で堅調となりました。目標株価の引き上げなども見られたようですが、特にそうしたものが材料とされたというよりは「買える銘柄」ということで買いが入り、買戻しも入ったものと思います。

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