ユーロ安や経済対策、円高対策に対する失望感から売られて続落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年08月23日 16時08分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 週末の米国市場が冴えない展開となり、ユーロが大きく売られて信用収縮懸念が強まったことから、売り先行となりました。それでも、政府・日銀の経済対策、為替対策に期待する向きもあり底堅い展開となりました。ただ、日銀総裁と首相が直接会って具体的な対策を話し合ったわけでもなく、電話会談で円高を話題にしただけと言うことが伝わると失望感からの売りもかさんで下げ幅拡大となりました。政府の無策ぶりを露呈した格好となり、投機筋の売りが嵩んだものと思います。

 政府の経済政策に対する無策ぶりが嫌気される格好となっています。民主党政権になってから、当初は期待はされたものの経済政策に関しては「何も出来ていないlということだと思います。そもそも、今回の民主党政権も「政権交代」と言うことが目的となっており、政権交代さえすれば、良いという感じだったのではないかと思います。政権交代をして何をするかを示したものが「マニュフェスト」ではなく、政権交代をするための手段が「マニュフェスト」であったと言うことなのでしょう。

 欧米では新興国の経済拡大に「乗らなければ」自国の経済拡大が見込めないとばかりに自国通貨安政策を取り、中国もしたたかな為替政策を取り自国の産業拡大を図っているのですが、日本だけは全く無策で規制ばかりを強めて、企業の活動の足を引っ張るようなことばかりしているように思われます。政府が無策なのであれば無策で良いので、規制をどんどん緩和して国内企業が動きや安いようにするべきであり、政府主導と言いながら何も出来ないことに対しては失望感も強まり、円高対策などへの催促相場となって来るのではないかと思います。

 株式投資でも目的と手段がごちゃ混ぜになっていることも多く、アナリストなどでもレポートを書くということが目的になったり、会社説明会に出席することが目的になってしまったりすることが多いのではないかと思います。株式投資の判断をする材料としてレポートを書くのであり、そしてそのレポートを書くために会社説明会に出席したり、会社を訪問したりするということなのです。投資家の立場に立ったレポート、つまり聞きたいこと、知りたいことが書かれているレポートが少なく、アナリストが知っていることばかりが書かれているものが多いのではないかと思います。何事も「何のために何をするのか」を常に考えて行動すれば効率的に動くことが出来ると思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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