新聞社の立派な建物が残り、報道が消えてしまうかもしれない上杉隆の「ここまでしゃべっていいですか」(6)(2/3 ページ)

» 2010年08月23日 08時00分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

窪田:例えば上杉さんが駅のホームに立っていて、後ろからドンと押す人がいても、それを見た人がTwitterでつぶやいたりする。「上杉、押されるなう」と(笑)。

相場:Ustreamで流れるかもしれない。

上杉:以前、テレビのレギュラー番組に出ていたころは、歩いていてもあまり声をかけられたりしませんでした。しかしTwitterを始めてからは、声をかけられることが多くなりましたね。Twitterでフォローしていると、親しみというか存在が近く感じるのかもしれない。「テレビ、毎日見てるわよ」と声をかけられたりする。もう、テレビには出ていないのに……(笑)。

全国紙がズルイ理由

作家・経済ジャーナリストの相場英雄氏

相場:フリージャーナリストで活躍されている方はたくさんいますが、今の若い世代の人がどこまで通用するのか、と心配しています。言葉は悪いですが、「君、この取材の仕方はないだろう」と思う人をしばしば見かけます。年寄りの戯言かもしれませんが、若い人はもっと"雑巾がけ"をした方がいいと思う。

上杉:簡単に取材ができる、と思っている人が多いのかもしれません。あとはネットで記事を書いていると、その発信元しか見ていない人が増えているような気がします。

 ただ記者クラブが崩れてきている中で、30年後、50年後に振り返ってみれば「あのときは過渡期だった」「あのときに日本のメディアも世界標準としてスタートした」と思うのではないでしょうか。

窪田:しかし今は“空白のとき”を過ごしていて、この間に「ジャーナリスト」と呼ばれる人が少なくなっているような気がします。

上杉:その一方で、Webメディアからこれまでにないタイプのジャーナリストが誕生するかもしれない。ネットメディアがもたらしたメリットは、メディアの看板で選ぶのではなく、中身で選ぶ人が増えたこと。必然的に読者のリテラシーが高くなったのではないでしょうか。例えば朝日新聞の主筆を務める船橋洋一さんがネット上で書いても、多くの読者が集まる時代ではない。無名でも記事が面白ければ、中身で人が集まるようになったことは、「健全化の1歩」と言えるのではないでしょうか。

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