景気回復鈍化懸念から大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年08月20日 08時16分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10271.21▼144.33

<NASDAQ>2178.95▼36.75

<為替:NY終値>85.37-85.43

芳しくない経済指標の発表を受け、景気回復鈍化懸念から大幅下落

 朝方発表された新規失業保険申請件数が予想よりも悪化していたことやフィラデルフィア連銀景気指数が予想に反して低下、マイナス圏となったことから景気回復に対する懸念が強まり、景気敏感銘柄を中心に売られました。M&A(企業の買収・合併)の話題もあったのですが、逆に財務負担が懸念されて売られるなど、地合いの悪さもあって、ほぼ全面安となりました。好調な決算を発表する銘柄も見られましたが、反応は鈍く、金先物価格は信用収縮の動きのなかで堅調でしたが商品相場は軟調となり、リスク許容度低下からの手仕舞い売りもあったものと思います。

 相場の好転も見られるのかと思われましたが、まだまだ懸念が根強く、センチメントはいっこうに好転していないようです。悪材料、芳しくない経済指標には敏感に反応してしまうということで、悲観的な見方が強いようです。政府やFRB(連邦準備理事会)期待が強いということなのでしょうが、金融緩和だけではなく財政出動に対する期待も強いのかもしれません。ただ、決して企業業績は悪いわけでもなく、この水準からは値ごろ感からの買いも見られるものと思います。

 個別にはマカフィーを買収すると発表したインテルは財務負担増大が懸念されて売られ、大幅安となり、マカフィーは大幅高となりました。好調な決算を発表したにもかかわらずデルが売られ、IBMやアップルなどハイテク銘柄も軒並み軟調となりましたが、セキュリティーソフト株は買収対象と見られ、シマンテックも大幅高となりました。前日引け後に発表した決算が予想を上回ったもののアプライドマテリアルズ(AMAT)も軟調となるなど、センチメントの悪化で手仕舞い売りを急ぐ場面もあったものと思います。ダウ平均採用銘柄は30銘柄全てが安い状況で、GE(ゼネラル・エレクトリック)やキャタピラー、アルコアなどといった景気敏感株は総じて軟調、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなど金融株も安くなりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は円高一服となったことや米国株の底堅さを好感して買い先行となり、買戻しを中心とした持高調整の売り買いが見られる中で大幅高となりました。半導体関連銘柄など好業績を改めて見直す動きもあり、売られ過ぎ銘柄の買い戻しで大幅高となりました。足元の決算は好調ということで売り難いところで底堅さが見られ、金融緩和期待もあって買戻しを急ぐ展開となったものと思います。

 米国市場は大幅安となりましたが、為替は比較的落ち着いた動きとなったことから日本市場も軟調ながらも底堅い展開となって来るのではないかと思います。昨日の大幅高の反動もあり、利益確定売りを急ぐ動きや買い戻し一巡感からの売りもありそうで、更に週末ということで手仕舞い売りも嵩みそうで、冴えない展開となりそうです。ただ、一方で、売られすぎ感もあり、円高が更に進むようなことがなければ、底堅さが見られるのではないかと思います。

 昨日上げた分を下げる、というような展開となるものと思います。米国でも前々日に大幅高となった分を下げた感じですが、日本市場も引き続き9200円水準での底堅さを確認する動きが続くものと思います。金融緩和に対する期待もあり、下値をむきになって売るような動きにはなり難いのでしょうが、週末ということで手仕舞い売りやヘッジ売りが嵩んで上値は重いものと思います。9200円水準での底堅さを確認しながら戻れば売り、というような狭い範囲での動きとなるのではないかと思います。

本日の注目点

◇7月の全国粗鋼生産(鉄鋼連盟)

◇7月の全国コンビニエンスストア売上高(日本フランチャイズチェーン協会)

◇7月の香港消費者物価指数

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