「うちの部も伝説を作ろうじゃないか」――デキル上司は目的への貢献意欲を湧かせる(3/3 ページ)

» 2010年08月18日 08時00分 公開
[村山昇,INSIGHT NOW!]
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至難の旅への男子求む。報酬わずか……

 英国の探検家アーネスト・シャクルトン卿は、1914年、世界初の南極横断をするための冒険隊員募集の広告を新聞に出しました。その有名な文面はこうです。

 「至難の旅への男子求む。報酬わずか。極寒。暗黒の長い月日。絶えざる危険。生還の保証無し。成功の暁には名誉と賞賛を得る」

 結果、この広告に5000人もの人が応募したといいます。シャクルトン卿はリーダーシップ研究の材料にされるほどその後伝説的な冒険をしましたが、彼が荒くれ男たちを見事に統率できたのは、「なぜこの冒険をやるのか」「お前たちは歴史を作りに来たんじゃないのか」という問いを隊員たちにかけ続け、貢献意欲を湧かし続けたからです。

 人間の真のやる気は、意味を感じられる目的の下に生じるものです。そして意味や目的といったものは、対話によってこそ共有されうるものです。

 「なぜ多くの社員がやる気をなくしているのか」「なぜ組織の空気がどんよりしているのか」を考える根っこは、「果たして、うちの組織は目的(事業の意義であったり理念であったり)を明確に設定して、それを皆で共有しているだろうか? そしてそのための対話があるだろうか?」との自問から始めねばなりません。目的がない、そのための対話もない。そして日々、目標だけが覆いかぶさる組織……それではみんなが疲れるはずです。

 組織の中には、「さぁ、うちの部も伝説を作ろうじゃないか」と言ってのける部課長がそこかしこにいてほしいものです。(村山昇)

 →村山昇氏のバックナンバー

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