好調な経済指標にもかかわらず先行き懸念が根強く軟調清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年08月16日 08時31分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10303.15▼16.80

<NASDAQ>2173.48▼16.79

<為替:NY終値>86.2-86.26

好調な経済指標にもかかわらず先行き懸念が根強く軟調

 朝方発表された小売売上高が前月比で3カ月ぶりに増加、消費者態度指数も前月から上昇するなど経済指標には好調なものも見られ、百貨店の好調な決算発表も見られました。ただ、パソコン需要などに対する懸念が根強く、百貨店の決算でも先行きの業績見通しは慎重と判断され、株価は冴えない展開となるなどセンチメントは好転せず、週末の買戻しと手仕舞い売りが交錯するなかで指数は小幅安となりました。

 これまでは経済指標にかげりが見られるということで売られる場面が多かったのですが、今度は経済指標が好転しても、先行き不安から売られるというような展開になっています。週末のヘッジ売りもあって軟調となったものと思われますが、GDP(国内総生産)の下方修正を織り込むような、FRB(連邦準備理事会)の追加金融緩和措置を確認するような動きとなっているようです。いずれにしてもセンチメントの悪化が一番の下落要因ということでしょう。

 個別には特に材料が出たわけではないのですが、GDP下方修正の原因となるような企業業績の落ち込みを意識するように景気敏感銘柄であるインテルやデュポン、ホーム・デポなどが軟調、キャタピラーは前日までの下落の反動から反発となりましたが、GE(ゼネラル・エレクトリック)やアルコア、IBMなど主力銘柄が軟調となりました。信用収縮懸念は一段落となり、バンク・オブ・アメリカが堅調、JPモルガン・チェースは軟調と金融株はまちまちとなりました。

本日の相場

日経平均

 先週末の日本市場は米国株安にもかかわらず為替が落ち着き、若干円安となったことや週末の手仕舞いの買い戻しも入り堅調となりました。寄り付きはオプションSQ(特別清算指数)算出に絡む買いが入り堅調となり、その後は手仕舞い売りや米国株安を嫌気する動きから軟調となりましたが、売り厭き気分に加え、週末の手仕舞いの買い戻しが見られて堅調となりました。

 週末の米国市場は軟調とはなったものの底堅く、経済指標も景気回復傾向が続いていることを示したことや引き続き為替が落ち着いた動きとなったことから底堅い堅調な展開が期待されます。世界的な景気回復鈍化懸念が薄れたわけでもないのですが、ここから大きく円高に振れることがなければいったん下値を確認したということで、7月初旬の安値圏でのもみ合いのような底値固めとなるのでしょう。ハイテク銘柄などは戻りも鈍いのでしょうが売られるところまで売られた感もあり、内需株の業績回復が顕著に見られるような銘柄は物色されるのではないかと思います。

 日経平均はまだまだ9200円水準での底値固めと言うことになりそうです。為替が円高に振れるようなことがあれば、9100円水準を目指すことになるのでしょうし、円安となれば9300円台まで戻ることになるのでしょう。いずれにしても9200円水準での底値固めとなり底堅さが見られるのかどうかを試す動きが続くのでしょう。底堅さが確認されれば9500円水準までの戻りを試すことになるものと思います。

本日の注目点

◇4−6月期のGDP(国内総生産)速報値(内閣府)

◇6月の第3次産業活動指数(経産省)

◇7月の首都圏・近畿圏のマンション市場動向(不動産経済研究所)

◇8月のNAHB(全米住宅建設業協会)住宅市場指数

◇7月のインド卸売物価指数

◇1−6月期決算:キリンHD(2503)

◇6月期決算:ファーストエスコ(9514)

◇4−6月期決算:フライトシステム(3753)

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.