電化がリードする低炭素社会――エネルギーソリューション&蓄熱フェア(1/3 ページ)

» 2010年08月10日 13時37分 公開
[栗田昌宜,Business Media 誠]

 東京電力などが主催する電化ソリューションの展示会「エネルギーソリューション&蓄熱フェア '10」が7月28日〜30日の3日間、東京ビッグサイトで開催された。

 同展示会のサブタイトルは「電化がリードする低炭素社会〜未来へつながる『電気』×『ヒートポンプ』〜」。その副題が示すように、省エネ技術として脚光を浴びるヒートポンプを核とした省エネルギーソリューションや、それを実現する各種機器/システム、導入事例などを紹介する展示会である。

 ヒートポンプは、自然界にある空気や水などの熱を熱媒体によって吸収させ、それを圧縮/膨張させることで温熱/冷熱を発生させる熱エネルギー利用技術である。例えばCOP(Coefficient Of Performance:成績係数またはエネルギー消費効率)が6の空調装置の場合、熱媒体をコンプレッサーで圧縮するために投入した1の電気エネルギーで、その6倍の熱エネルギーを出力することができる(そのうちの5倍は空気中の熱エネルギー)。

 このようにヒートポンプは省エネ効果が非常に高く、民生用(業務/家庭用)、産業用、農業用に使用している国内の空調装置と給湯装置(産業/農業用ボイラーを含む)をすべてヒートポンプ式に切り替えれば、日本の年間総CO2排出量の約10%に相当する約1億4000万トンのCO2を削減できるという。

右はヒートポンプ技術の概念図。COP3〜6の空調装置の場合、1の電気エネルギーで3〜6の熱エネルギーを生み出すことができる。左は業務用分野のCO2排出量削減効果を示したもので、空調・給湯装置をすべてヒートポンプ式に切り替えると、CO2排出量を約7割削減できる

 同展示会のゾーン構成は、プロローグ、空調・給湯・産業、厨房、オール電化住宅の4ゾーン。

 メインの空調・給湯・産業ゾーンは後ほど詳述するが、プロローグゾーンでは、原子力発電の活用や火力発電の熱効率向上、再生可能エネルギーの利用拡大など、CO2排出量を少なくして電気を作る東京電力の取り組みなどをパネルで紹介。

 厨房ゾーンに展示されていたのは、ヒートポンプ給湯器や、東京電力がヒートポンプと並ぶ省エネ技術と位置付けているIH(Induction Heating:誘導加熱)技術を活用した電化厨房機器などだ。IHクッキングヒーターは鍋やフライパンなどの調理道具を直接加熱するためエネルギー利用効率が高いほか、排熱が少ないため厨房内の空調負荷を抑えることができる。東京電力によると、ヒートポンプエアコンやヒートポンプ給湯装置、IHクッキングヒーターなどを導入した電化“エコレストラン”では、一時エネルギー消費率を約20%、CO2排出量を約39%、割安な電気料金メニューに切り替えることなどによりランニングコストを約49%、それぞれ削減できるという。

 オール電化住宅ゾーンでは、ヒートポンプ給湯装置やIHクッキングヒーター、太陽光発電システム、電気床暖房システム、省エネ家電などによる便利で快適な低炭素スタイルの暮らしが提案されていた。

東京電力の厨房特設ゾーンでは、IHクッキングヒーターやヒートポンプ給湯装置などを導入した“エコレストラン”ソリューションが提案されていた
厨房特設ゾーンには、和・洋・中華など業種別電化厨房機器の実機体験コーナーが設けられていた。写真は中華鍋用IHクッキングプレートを使った中華料理デモ
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