週末の手仕舞いの買戻しで底堅いが米雇用統計の発表を控えて小動き清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年08月06日 16時25分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国株が底堅かった割りに大きな下げとなる場面もありましたが、週末の手仕舞いの買戻しもあり底堅い展開となりました。最後は手仕舞い売りやヘッジ売りもあって軟調となりましたが、円高に振れた割には底堅くなりました。決算発表も出揃って来ましたが、先行きに対する不安はあるものの足元の業績に比べて売られ過ぎとなっている銘柄も多く、週末の持高調整で買戻しを急ぐ展開となったものと思います。外国人も大幅買い越しと伝えられ、買戻しが進んでいるということなのでしょう。

 今朝テレビに出演して来ましたが、その中で決算を上方修正したにもかかわらず売られる銘柄が見られるという話をして来ました。4−6月期の業績が好調で7−9は好調だが伸びが鈍化、下期になると落ち込んでしまうという見方をしているような企業は上昇修正を発表しても売られてしまうということだと思います。赤字になってしまうわけでも、通期で見て落ち込むわけでもないにもかかわらず、「尻すぼみ」の業績ということで売られてしまうようです。

 つまり、例えば四半期ごとに25ずつ収益が増加していたものが、4−6月期で75増加、7−9月期で60増加、10−12月期、1−3月期で合わせて30増加すると通期では100の増加であったものが165の増加となり、「通期でも上方修正」となるのですが、従来の下期の予想である50の増加に比べて30しか増加しておらず、下期だけに関して言えば「下方修正」となってしまうのです。こうしたことが嫌気されて売られる銘柄が散見されますが、明らかに「慎重な見方」で「下方修正」や「据え置き」としているのであり、相場の良い時であれば「上振れ期待」とされるものだと思います。

 「業績予想」に対する考え方が、われわれの日経平均の先行き予想と同じで、ダメだと思っていたのが良くなると言うのと良いと言っていたのがダメになる場合では前者は特に責められることはないのですが、後者の場合は問題とされるケースが多いのです。ですから、相場でも常に弱気を言っておきたまに当たると「よく当たる」と言う印象になり、強気を言っている人が外れると「当たらない」といわれてしまうのです。企業業績もそういった意味でかなり慎重に見ている企業が多く、その慎重な見方に反応してしまうと「売られすぎ」となることが多いのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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