欧米株式の大幅高を受けて買い先行となるも上値は限定的清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年08月03日 16時00分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国株高や好決算発表が多い割りに冴えない、上値の重い展開となりました。円高に対する懸念や下期業績の落ち込みに対する懸念が根強く、最後まで買い切れずに早めに手仕舞い売りや利益確定売りが出てくるようです。為替が円高になったからといって「日本買い」となるわけでもなく、債券市場は堅調(利回りは低下)となって、株が売られるような展開となっており、株式市場はこれだけ好決算の発表が相次いでも全く盛り上がりに欠ける展開となっています。

 昨日の米国市場も欧州金融不安が薄れたことが大きく上昇となった要因と思われます。経済指標が予想ほど悪化しなかったから、と言うことも理由として挙げられていましたが、どちらかというと金融不安が薄れて、リスク許容度が上昇し欧州や米国の株式市場や商品市場に資金が流れたことが要因ではないかと思います。日本株に対してはいっこうに資金が流れてこないのですが、金利がこれだけ低く、デフレ懸念がなく、金融不安がなければ、資金を調達して投資をしたり、モノを買ったりする向きも多くなるのではないかと思います。

 米国の経済指標も強弱感が対立しているというのですが、決して悪いものではなく、「思ったほど改善していない」とか「予想ほどの好転が見られない」と言う感じであり、見方によってはかなり健闘していると言う見方も出来ると思います。加えて足元の企業業績が好調ということであれば、新興国経済が大きく落ち込むとか、信用収縮の動きから市場から資金が流出してしまうことがない限り、堅調な地合いが続き、株式市場や商品相場が堅調となれば、資産効果や金利裁定からますます堅調な展開となるものと思います。

 同様に日本企業も新興国を中心に業績が好転している企業が多く、株式市場で心配するほどの懸念はないのではないかと思います。サブプライムショックの時も楽観的な見方をして失敗したではないかとの意見もあるようですが、ドバイショックも欧州金融不安も影響は限定されており、大きな問題とはならず、世界的な規模で資金が回っていれば、景気動向も落ち込む懸念は少ないのではないかと思います。悲観的な見方が多くなり、資金が滞ればそれこそ本当に悲観的な展開になってしまうのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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