欧州金融不安、米国景気回復鈍化懸念が薄れ大幅高清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年08月03日 09時22分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10674.38△208.44

<NASDAQ>2295.36△40.66

<為替:NY終値>86.49-86.55

欧州金融不安、米国景気回復鈍化懸念が薄れ大幅高

 欧州の銀行の好調な決算が発表されたことで、欧州での金融不安が後退、欧州株が大幅高となったことや注目されたISM(米サプライマネジメント協会)製造業景況感指数が思ったほど悪化しなかったことが好感されて大幅高となりました。欧州金融不安が薄れたことで、リスク許容度が上昇、商品相場なども堅調となったこともあり、ほぼ全面高となりました。好調な決算を発表する企業も多いだけに、景気の先行きに対する懸念や金融不安ちょっとでも薄れると敏感に反応することになるのでしょう。

 それでなくても好調な決算発表を受けて目先的な過熱感があるなかで底堅い展開となっていたのですが、景気回復の鈍化を取りざたしていた向きも、景況感の落ち込みが見られないと買戻しを急ぐこととなったものと思います。まだ、個人消費や雇用などの顕著な改善が見られたわけでもないのですがここのところの戻りの鈍さは、景況感によるもの、目先の需給要因によるものであっただけに、景気の落ち込み懸念が薄れると素直に買われるのでしょう。センチメントに変化が見られれば好調な決算を発表している銘柄が多いだけに買いが続くかもしれません。

 個別には投資判断の引き上げのあったコカ・コーラが高く、原油価格の上昇を受けてエクソン・モービルは大幅高、シェブロンも高くなりました。景気回復鈍化懸念が薄れたことで、キャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)、アルコアといった景気敏感株が高く、アルコアは素材高もあって大幅高となりました。欧州金融不安が薄れたことで、JPモルガン・チェースが大幅高、バンク・オブ・アメリカやシティグループなど金融株が軒並み高くなりました。好決算を見直す動きでインテルやアップル、IBMといったハイテク銘柄も軒並み堅調となり、ホーム・デポやウォルマートも堅調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国の景気回復鈍化懸念が薄れたことから好決算を織り込むように買い先行となり、大幅高となる場面もあるなど堅調な地合いとなりました。先週末の大幅下落の反動もあり、買戻しも交えて好決算銘柄を買い直す動きとなったものと思います。相変わらず目先の需給に振らされる格好で、後場に入ってから上げ幅縮小となりましたが、何とか指数は堅調となりました。

 米国市場が大幅高となったことや為替が落ち着いていることなどから、日本市場は好調な業績を見直すような格好で堅調な展開が期待されます。欧州での金融不安、米国での景気回復鈍化懸念が薄れ、中国の金融引き締め懸念も薄れていることから、これまでの好調な業績回復の継続に少しは自信も出てくるものと思います。原油価格など商品市況も堅調で商社株や非鉄株なども売られすぎた銘柄の戻りが期待されますし、円高が更に進む懸念も薄れたことでハイテク銘柄など輸出関連銘柄の見直し買いも続くものと思います。

 日経平均の9500円〜600円水準での底堅さが確認されたものとして、今度は上値の節目9800円〜900円水準を目指す動きとなりそうです。まだ、米国での主要な経済指標の発表などもあることから一気に9800円〜900円の節目を抜けるということでもないのでしょうが、米国株に比べて出遅れ感もあり、9800円に突っかけるような場面も見られるかもしれません。為替が円高に振れるようであれば、まだまだ9500円〜600円水準での底堅さを確認する動きが続くのでしょう。

本日の注目点

◇10年物国債〔8月債〕入札

◇4−6月期決算:スズキ(7269)、JX(5020)、旭化成(3407)、三菱レ(3404)、コスモ石(5007)、出光興産(5019)、ジェイテクト(6473)、三井物(8031)、横浜銀(8332)、大京(8840)、NTTデータ(9613)

◇1−6月期決算:昭電工(4004)

◇豪中銀政策金利発表

◇7月の米新車販売台数

◇6月の米個人所得

◇6月の米個人消費支出(PCE)

◇6月の米製造業受注

◇海外4−6月期決算:ダウ・ケミカル、ファイザー、P&G

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