先行き懸念は根強く、上値は重いが改めて好決算を織り込む展開清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年08月02日 16時01分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 ようやく好調な決算を織り込むように堅調な展開となりましたが、相変わらず目先的な需給要因で振らされる展開となって、上値も限定的となりました。朝方から先週末の米国市場が底堅い展開となたこと、特に経済指標に改善の見られるものがあって市場が底堅い展開となったことを好感するように、先週末の大幅下落の反動もあって買い先行となり、大幅高となりました。後場に入ってからは目先筋の手仕舞い売りに押されましたが、株価が上昇することで円安となり円安となると改めて好業績を見直すように買いが入るといった状況でした。

 決算への反応が鈍かったのですが、米国景気の底割れ懸念が薄れるととたんに買戻しも交えて改めて好決算を見直す動きとなるようです。業績面からは売り叩きにくい水準でもあり、株価が底堅くなることで買い戻しが入り、買い戻しが入ると株価も底堅くなるというような相変わらず目先の需給に振らされる状況です。決算も出揃って来ましたが、4−9月期まで上昇修正しても通期業績を変更しないような発表が多く、あいかわらず慎重な見方となっているものと思います。

 決算予想を下方修正することだけは避けたいというような発表が多く、会社側の発表はかなり慎重なものとなる傾向にあると思います。しかも、四半期決算の発表となっていることで、足元の四半期動向ばかりを気にするような動きとなっており、四半期決算発表の弊害、目先の動きばかりを気にしてしまう傾向が顕著になってきたということでしょう。下期の為替レートや海外での売り上げ動向など読み難いものが多いのでしょうが、後から上方修正すれば良いと言う気持ちが強いのではないかと思います。

 終わった期の決算が予想を下回ったとか上回ったというのはわかるのですが、通期の期初の想定を上方修正した、下方修正したと言われてもまだ、この時期では敏感に反応することもないのではないかと思います。下期に為替が円高になるから・・・、などと予想されても全くわからず、反応のしようがありませんし、新興国での収益にしてもまだ不透明な面が多いと思います。足元の動向で常に修正していくようにすれば、企業の決算予想もある程度方向を示すだけでいいのではないかと思います。後は投資家自身が強気に見るのか弱気に見るのかで判断すれば良いことではないでしょうか。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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