米国株安や円高に過剰な反応となって大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年07月30日 16時35分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 米国株安や円高を受けて売り先行となりました。外国人は買い越しと伝えられたのですが、寄り付き前に発表された鉱工業生産指数が予想に反してマイナスとなったこともあって、寄り付きの売りが一巡した後も買いが入らず、週末、月末の手仕舞い売りも嵩んで大きな下げとなりました。好業績を発表しながらも足元の円高を嫌気したり、先行きへの懸念から買い手控えられ、手仕舞い売りに押されるものも多く、地合いの悪さから下げ幅拡大となりました。

 好決算を発表しながら大きく売られるものが目立ちました。通期業績まで上方修正しながら売り気配から始まるものが見られるなど、業績とは関係のないところで売りが嵩んでほぼ全面安となりました。好決算に反応するものも見られましたが、本来であれば、ストップ高となってもよさそうな決算発表であるにもかかわらず、上げ幅限定的となるなど冴えないものが多く見られました。好材料への反応が鈍く、先行きへの懸念ばかりが取りざたされているようです。

 ここまで好決算を期待して買われていたのでもないのですが、好決算への反応が鈍くなっています。相変わらず先行きへの懸念ばかりが取りざたされているようですが、悲観的に見ることでますます資金の回転が悪くなり、本来悪くならないものまでも悪くなってしまうようです。鉱工業生産指数の下振れを懸念する向きもあるようですが、経済指標が芳しくないなかで円高となるというのも何だかおかしな話です。

 これだけ好調な決算が発表されても買い手がいないというのはかなり重症ではないかと思います。これまで大きく上昇して織り込まれていたのであれば致し方ないのですが既に先行きへの懸念で売られていたなかで好決算を無視するように売られているということで、ますます買い手も引っ込んでしまい、悪循環となって好業績なのに株安という方向になってしまいそうです。円高を嫌気していると言っても円高メリット銘柄も売られており、やはり目先の雰囲気だけの売り買いというような目先の需給に振らされているということなのでしょう。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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