もし『踊る大捜査線』の青島刑事が上司だったら吉田典史の時事日想(1/3 ページ)

» 2010年07月30日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。

著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)、『いますぐ「さすが」と言いなさい!』(ビジネス社)など。ブログ「吉田典史の編集部」、Twitterアカウント:@katigumi


映画『踊る大捜査線3』(出典:映画公式Webサイト)

 俳優・織田裕二さん主演の映画『踊る大捜査線3』がヒットしている。前作が上映されたのは、2003年。このときは観客動員数が1260万人となり、日本の実写映画興行収入記録のトップになった。数日前、私はその続編を見てきた。

 率直な印象をいえば、20〜40代半ばまでくらいの会社員でいずれは管理職になりたい人、あるいはすでに部下がいる人は見ておくといいと思った。今回は、織田さん演じる青島刑事が新湾岸署強行犯係の係長(警部補)に昇進したことが大きなポイント。5〜6人の刑事を部下として率いることになったのだ。会社員はココに着眼しながら見ると、いい教材になるだろう。

 私はこの『踊る大捜査線』シリーズをほぼすべて見てきた。それだけに「無鉄砲な性格の青島がチームを引っ張ることができるのだろうか?」と映画を見る前は疑問に感じていた。ところが、部下の指導力や組織の動かし方はレベルが高く、ほかの人はなかなかこの域には達しないのではないかと思えた。

 織田さんは映画パンフレットのインタビュー記事で、青島が上司に向いている理由として次のようなことを挙げている。

 「青島は人の長所を伸ばしてあげたり、全員をいいバランスでまとめるのがうまいんですよ。(中略)これまでも青島は真正面からぶつかってダメなら真横からとか、自分が伝えたいことは変わらないけど、その方法は自在に変えられる人でしたけど、そこに強みが加わった気がするんです」(7ページより抜粋)

 これは、管理職で成功するかどうかの本質だと私は思う。一読すると、ごく当たり前のことを話している。だが、これは警察という組織に限らず、企業の管理職にも言えることであり、極めて正論である。私が大企業や中堅企業の管理職を取材していても、このような上司はほとんどいない。彼らを観察すると、部下の長所を伸ばすことや、部下にさまざまな角度からアプローチして自分の考えを伝えることはまずできていない。

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