風力発電のメリットとデメリット松田雅央の時事日想(2/4 ページ)

» 2010年07月27日 08時00分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]

世界最大級

 アルファ・ベントスが建設された沖合い45キロの水深はおよそ30メートル。風車はそこにオイル掘削プラットフォームの技術を用いて4本足の「やぐら」を建てるか、非常に重い3本足の土台を設置し、その上に据え付けられている。

アルファ・ベントスの風車

風車直径:126メートル

塔の高さ:92メートル

定格出力:5メガワット

総重量:700〜1000トン

羽の回転速度:6.9〜12.1回転/分

発電機の回転速度:670〜1170回転/分

風車の回転に必要な最低風速:3.5メートル/秒

定格風速:13メートル/秒

風車を停止する風速:30メートル/秒以上

風車先端の最高回転速度:80メートル/秒(12.1回転/分の場合)

 アルファ・ベントスの風車は世界最大級である。陸上ならば小型から大型までさまざまな選択肢があるが、洋上の風車建設は基礎工事に多額の費用を要するため、できうる限り大型のものが選択される。例えば2.5メガワットの風車を2基建てるより5メガワットの風車を1基建てる方が、発電出力当りの建設費は安上がりになる。大型化により建設費が割安になる理屈は陸上の風車も同じだが、洋上の方がメリットが大きい。

 発電された電力はまず洋上変電施設で110万Vに昇圧され、直径18センチ・長さ60キロの海底ケーブルにより送電される。陸地に近い部分のケーブルは船の航行を妨げないよう海底地中に埋められている。

 最も注意を要する技術上の問題は氷だ。流氷の衝突に対して十分な強度を持つことはもちろん、風車に付着する氷の対策も必要になる。氷の付着により風車の回転に影響が出るようであれば、回転は自動的に停止するようになっている。

塔の構造(出典:Deutsche Offshore-Testfeld und Infrastruktur GmbH & Co. KG)

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