宮崎台駅の改札を出ると、正面右側に「東急電車とバスの博物館」の入り口がある。スロープを歩いていくと、壁面には東急の歴代の電車やバスのパネルが並ぶ。「どの電車を覚えているか」で世代が分かってしまう仕組み(笑)。渋谷ハチ公前広場に鎮座する5000系が第一線で活躍していた頃の写真もある。アプローチの終わりで踏み切り警報機に出迎えられて建物内へ。入場料はなんと、大人はたったの100円! 小中学生は50円、6歳未満は無料だ。利益を得るというより、沿線の人々へのファンサービスという趣旨なのだろう。この料金設定のおかげでどうなるかというと、館内は保育所か託児所かと思うほどの大盛況。チビ鉄ちゃんたちと付き添いのママ鉄さんたちでにぎわっている。
展示物は運転シミュレーターなどのアトラクション系が中心。一番人気は8090系の運転台を再現した運転体験コーナーだ。運転席から巨大スクリーンの風景を見ながら、田園都市線を運転できる。このシステム、大宮にある鉄道博物館のシミュレーターを手がけた音楽館(社長はあの向谷実さん)の制作によるもの。これが100円で入館できて、追加料金なしで体験できる。
昭和生まれの筆者にはデハ3450形が懐かしい。こちらは風景こそ再現されないけれど、マスコンを動かすと前方の台車が動き出し、ウオオオオオオン、というモーター音が聴ける。この時代の機械の音って、なんだか人間がしゃべったりうなったりしているみたいだ。デハ3450は車掌さんのマイクやパンタグラフの上下も体験できる。パンタグラフの音も迫力があって、館内に響き渡る。
実車の展示は、元・玉電(参照記事)のデハ200形とモハ510形だ。デハ200形は昭和30年生まれ。モハ510形は昭和ヒトケタ生まれ。モハ510形は後に更新されて3450形になり、展示に当たって登場当時の姿に復元されたものだという。これは筆者も現役時代を知らない。団塊の世代の名車かもしれない。デハ200形は丸っこいボディで親しまれた車体だ。車内にも入れるけれど、ここもチビッコとママで満席状態。このデハ200形は2両編成で、当時の路面電車としては珍しい連接車体。連接車体という仕組みは、連結部分が台車になっている構造だ。小田急ロマンスカーが有名だが、デハ200形の面白いところは、連接台車が1軸になっているところ。小さくてかわいらしい車輪も愛でよう。デハ500形は少し離れたイベント館にあり、室内も開放されていた。ここは人が少なかったが、やはり休憩所となっているようだ。
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