買戻しも入り下げ幅縮小清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年07月16日 07時50分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10359.31▼7.41

<NASDAQ>2249.08▼0.76

<為替:NY終値>87.41-87.47

芳しくない経済指標を受けて軟調な場面もあったが、買戻しも入り下げ幅縮小

 朝方発表されたニューヨーク連銀景気指数が予想を下回ったことや前日までの上昇の反動もあって軟調な始まりとなり、一時大幅下落、最後は買戻しもあって指数はほぼ横ばいとなりました。朝方発表された新規失業保険申請件数は予想以上に減少、金融機関の決算は好調だが、CEO(最高経営責任者)が慎重な見方を示すなど強弱感が入り混じるなかで、フィラデルフィア連銀景気指数も予想を下回るなど前日のFRB(連邦準備理事会)の成長率見通しの下方修正も含めて景気回復鈍化懸念が強まり大幅下落となる場面もありました。

 決して先行きに対して極端に悲観しなければならないほどではないのですが、楽観的にもなれない、というような状況です。経済指標も良くはないのですが、「悪化」というほどでもなく、個別の企業業績は好調なものも多いという展開です。金利の低下が好感される側面もあり、弱気なのですが極端に弱気になりきれず、かといって強気にはなれないと言うような雰囲気ですが、個別企業の好調な業績が出揃ってくれば、改めて見直す動きとなって来るものと思います。

 個別には米証券取引委員会(SEC)との和解が報じられたゴールドマン・サックスが大幅高、朝方好決算を発表したJPモルガン・チェースも堅調となりました。アップルは軟調となりましたが、インテルが引き続き堅調となるなどハイテク銘柄は好業績を期待して底堅い堅調なものが多くなっています。引け後に決算を発表したグーグルは4−6月期の売上高が過去最高と伝えられましたが一株利益が予想を下回ったことで、時間外取引では大幅に売られました。投資判断の引き下げのあったアマゾン・ドット・コムが軟調、投資判断の引き上げのあったAOLが堅調となり、好決算を発表したフェアチャイルド・セミコンダクターは堅調、引け後に決算発表を控えたアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)は軟調となりましたが、引け後の好決算発表を受けて時間外取引では大幅高となっています。

本日の相場

日経平均

 昨日の日経平均は米国株が堅調となったのですが、前日の大幅高の反動や為替が若干円高に振れたことなどから軟調な始まりとなり、戻りも鈍く小動きとなりました。米国や中国の景気減速を懸念する動きもあったのですが、「減速」が懸念されるほど指標の悪化は見られず、持高調整の売りや手仕舞い売りに押されはするものの、売り急ぐ場面も限定的となり、大幅安ながらも方向感のない展開となりました。

 米国市場は底堅い展開となりましが、3連休を控えた週末ということで、日本市場は手仕舞い売りが優勢となりそうです。米国や中国経済も決して悪くはないのですが、先行きに対する懸念も根強く、週末の米国決算発表などを控えて積極的に持ち高を増やすような動きは少ないものと思います。週末の手仕舞いの売り買いも今週は堅調な展開となったことから買い戻し一巡感も出ているものと思われ、どちらかというと手仕舞い売りに分がありそうです。また、為替もユーロ安は一服となりましが、ドルが売られたことからハイテク銘柄など輸出関連銘柄は手仕舞い売りを急ぐような場面もありそうです。ただ、足元の業績は好調と見られており、底堅さも見られるものと思います。

 足元の好調な業績と円高や先行きに対する懸念がせめぎ合う格好となりそうです。日経平均は引き続き9500円〜600円水準を下値、9800円〜900円水準を上値という範囲での動きと思われます。9600円を割り込むようなところ、あるいは意識するようなところでは底堅さも見られ、9700円を大きく上回って9800円を意識するような水準では上値が押さえられるというような展開となって来るのではないかと思います。

本日の注目点

◇5月の第3次産業活動指数(経産省)

◇7月の金融経済月報(日銀)

◇東証1部上場廃止エスエス(独製薬大手による株式取得で)

◇中国農業銀行が香港に上場

◇7月の米消費者態度指数(速報値、ミシガン大学調べ)

◇6月の米CPI

◇5月の米対米証券投資

◇4−6月期決算:バンク・オブ・アメリカ、シティグループ、ゼネラル・エレクトリック(GE)

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