ビアホールの客を増やしても気温は上がらない――相関関係と因果関係の違いとは(2/2 ページ)

» 2010年07月14日 08時00分 公開
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ビアホールの客を増やしても気温は上がらない

 少しアクセス解析から離れて例を示しましょう。

 仮に、子どもの成績と、その親が持ち家を所有しているかどうかに高い相関性が見られたとします。では、親が持ち家を購入すれば、子どもの成績は上がるのでしょうか? 恐らくこの相関性は、「親が持ち家を購入できるくらい裕福であれば、子どもの教育費も比較的多く使い、良い教育を受けさせているから子どもの成績が上がる」という関係なので、親がどれだけ頑張って持ち家を購入しても、教育費を増やさなければ子どもの成績は上がらないでしょう(あくまでも、これは説明のための仮の例ですよ)。

 また、ビアホールの入場者数と気温の高さには相関性があるからといって、無料券を大量にバラまいてビアホールに人を多く呼び寄せたとしても、気温が上がるわけではないのは当然でしょう。

 もし、相関関係から因果関係の有無を判断したい場合は、次の5点に注意するのが良いようです(ウータンの統計講座より)。

<相関係数と因果関係>

 相関係数から因果関係を確定するには次の5点に留意しましょう。

1.関連の時間性:原因は結果の前に存在する

2.関連の密接性:原因が結果と密接に関連する(量反応関係があると因果関係の可能性が強い)

3.関連の特異性:原因が結果の発生に特異的に係わっている。

4.関連の普遍性:時期、対象、方法が異なっていても類似した結果が得られる。

5.関連の合理性:従来の経験、理論などから考えても矛盾しない説明がつく。

 この5点が満たされていれば因果関係はかなり確実性が高いと言えるでしょう(必ずしも1〜5全てを満たす必要はありません)。

 繰り返しますが、「相関性がある=因果関係がある」とは限らないということは頭に入れておきましょう。(安田英久)

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