乱発気味? モンドセレクションって実際どうなのよ(2/2 ページ)

» 2010年07月13日 08時00分 公開
[中村修治,INSIGHT NOW!]
INSIGHT NOW!
前のページへ 1|2       

日本から出品した食品の8割が入賞している

 日経MJ2008年11月14日号の記事を出典として編集されたWikipediaには、「本認証は相対評価ではなく絶対評価を用いているため、定められた技術水準を満たした商品にはすべて認証が与えられる。特別金賞は2006年以降毎年50点以上の日本製品に与えられている。なお国際的には、ほとんど無名である一方、日本国内で近年急激に知名度が上がったため審査対象品の5割が日本からの出品という状態にある。さらに、日本から出品した食品の8割が入賞している」と記されている。

 実際のところはどうなのかと、モンドセレクション公式Webサイトを閲覧してみた。「2010年度は、19カ国178企業から出展された292強の商品がインターナショナルハイクオリティートロフィーを受賞しました」と記されているが、「ダイエット並びに健康食品」分野では、受賞した15社のすべてが日本企業。「チョコレート、製菓ならびビスケット」分野でも、受賞した26社中25社が日本企業。「毎年80カ国以上から2200に及ぶ商品がモンドセレクションにて評価される」と表記されているものの、日本企業が寡占しているのがその実態である。

 この実態を好意的に解釈すると「日本の食品のほとんどは、世界の品質基準を常に満たすようにできている」わけである。誇らしいことである。

ほめられ方に見識を

 しかし、販促のアイデアに困ったからといってモンドセレクションを販促ネタとして獲得し、国際=権威に弱い日本人の弱みにつけ込んだ販促キャンペーンを仕込むのは、どうなのだろうか? それって、モンドセレクションの悪用である。

 ちなみに、楽天市場で「モンドセレクション」と検索すると7062件が候補に上がる。うっ!、「食のノーベル賞」にしては多すぎる……。

 さらに調べていくと、日本には、「モンドセレクションへの出品を代行するビジネス」なるものがあることが分かる。日本の食品の品質の高さを世界に広めるための事業であるので「ありがたい」わけではあるのだが、こんなビジネスが成立しているのは、日本だけなんだろうと思うと複雑な気持ちである。

 日本の企業も消費者も、「ほめられ方」についてもう少し見識を持つべきである。ホメホメビジネスは、いつかきっと、どこかで恥ずかしくなる。

追記

 最近「おれおれ詐欺」ならぬ「ホメホメ詐欺」という事件が日本では頻発しているらしい。何でも俳句や絵画などをたしなむご高齢の方をターゲットにして電話をかけ、作品をほめちぎって、「雑誌などに掲載しましょう」と持ちかけ、後で多額の請求をするというもの。「おれおれ詐欺」よりたちが悪い気がする。ヒトはほめられると弱い。確かに、財布のひもが緩む。そして、結果的には「お恥ずかしい次第」なので、事件にならない……。犯人の思うつぼなわけである。(中村修治)

 →中村修治氏のバックナンバー

著者プロフィール:中村修治(なかむら・しゅうじ)

有限会社ペーパーカンパニー、株式会社キナックスホールディングスの代表取締役社長。昭和30年代後半、近江商人発祥の地で産まれる。立命館大学経済学部を卒業後、大手プロダクションへ入社。1994年に、企画会社ペーパーカンパニーを設立する。その後、年間150本近い企画書を夜な夜な書く生活を続けるうちに覚醒。たくさんの広告代理店やたくさんの企業の皆様と酔狂な関係を築き、皆様のお陰を持ちまして、現在に至る。そんな「全身企画屋」である。


関連キーワード

アワード | 広告


前のページへ 1|2       

Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.