佐々 じゃ、『今度は愛妻家』の北見俊介の反省点はというとぉ〜。
佐々&わこ てめぇ、デレるの遅すぎなんだよ!!!!!!!
わこ と、声をそろえて申し上げたいね。日本の夫たちよ、もしあなたが妻を愛しているのなら、ツンばかりでデレを忘れてると大変なことになりますよ、っていういい見本。
佐々 俊介のいかにも妻に逃げられましたって感じのやもめ生活と、カメラマンっていう昔格好良かったけど、いまは台所事情の悪い職業ってのがまた痛々しい感じなんだよな。
わこ そそ、それで、女優志願の蘭子を昔のステイタスで口説いたりしてさ。家で元妻さくらとその蘭子が鉢合わせしそうになったときの会話がまた……、男ってどうしてこう格好つけたがるの? と突っ込みつつ笑った。
佐々 よいではないか。誰だって付き合いの浅い相手には自分をよくみせるために格好つけるもんだろ?
わこ そうだけど、あのシーンの俊介の場合はちょっと違うよ。蘭子には芝居まがいのくさいセリフで口説きにかかり、さくらとは日常会話で情けなさ全開だもん。その落差がすごい。あれはちょっと格好つけただけじゃすまないよ。キャラが違っちゃってるもん。
佐々 でもそこが可愛いとか思ってあげようよ〜、健康オタクの妻が出す不味いお茶をさ、逃げられてから愛飲してるところとかさ、妻がやってた健康関連の新聞記事の切り抜きを代わりにやってたりとかさ。そういうとこに「きゅん」ってきたりしない? するでしょ? するよね?
わこ しないね、全然。格好つけるのに疲れたら、素の情けなさを押し出して可愛いとも思われたいってか、虫が良すぎるだろ?
佐々 もー冷たいんだから。男って傷つきやすいのよー、女なんかより全然、って美輪先生もいってたじゃなーい。
わこ 知らねーよ。っていうかなんで急にオカマのブンちゃんみたいになってんのよ。
佐々 いえね、あたし、この映画のキモにあたるところの「衝撃の事実」より、ブンちゃんが実は……っていう衝撃のほうが大きかったものだから〜。
わこ 確かに。ネタバレしちゃまずいだろうからいわないけど、「衝撃の事実」については結構早い段階で分かっちゃうんだよね。ブンちゃんの秘密のほうが「ええっ!」って感じ(笑)
佐々 この映画、もとは舞台だっただけあって、会話が絶妙だし、俊介とさくらを取り巻く、ブンちゃんと蘭子とまことちゃんがまたいい味だしてるよな。
わこ 蘭子とまことは、これからの若いふたりの普通の恋ってのがサイドストーリーとして添えられてんのよね。俊介とさくらは俊介がツンデレなんだけど、まことと蘭子は蘭子がツンデレなの。で、蘭子のデレはまことにはキャッチするのが難しいんだけど、そこを俊介がフォローしてあげる、という……。
佐々 ツンデレで全部を語ろうとすんなよ、このオタクめ。
わこ いや、すべての過ちが俊介の「デレるタイミングが遅すぎた」ところにある映画だからさー、そういうのもいいかと思って。
佐々 ま、確かに、離婚切り出されてから妻を愛してることに気が付いてもね、っていう、ね。
わこ そうそう、それ以上に取り返しのつかない事態になってからデレても遅いよ、と。
佐々 そうすっと、やっぱりより反省すべきなのはジェイクじゃなくて、俊介のほうかな。
わこ そうでしょう。だって俊介は反省してもどうにもならないもん。
佐々 では、今回の教訓は「デレるならお早めに」ってことですな。
映画好きが高じて、コラムを書いたりもするイラストレーター。『WOWOWマガジン』『問題小説』『てぃんくる』などでイラストコラムを執筆。『Tokai Walker』の金子裕子さんのコラム「セレブ診療所」にコマ漫画を付けている。過去には『DVD&ビデオでーた』でビデオレビューのイラストコラム、『DVDでーた』で記者会見をレポするコラム『現場から櫻井輪子でした』を連載。
著書に『「へのへのもへじ」から始める 世界一カンタン! イラスト練習帳』がある。公式サイト「SakuraiWako'sめカラうりぼう」。
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