異議申し立てをしてもイイのか? 1つ上の上司に吉田典史の時事日想(2/3 ページ)

» 2010年07月09日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

直属上司を飛び越える前に

 私の立場をいえば、AとBに近い。3人目のコンサルタントCの考えとは、180度近く違う。ただし、退職強要やセクハラなど不当な行為を受けたときは、その相手が直属上司ならばその上の上司に話を持ち込むことは仕方がない。むしろ、積極的に役員らに異議申し立てをするべきだと思う。

 部下が仕事の不満などを抱え、直属上司を飛び越える際、少なくとも次のことは考える必要がある。

(1)なぜ、飛び越えるのか?

 単なる感情論ならば、その部下は飛び越える資格はないと思う。それでは、組織が成立しない。

(2)上司を説得できるだけの材料をそろえたか?

 上司を説得できるだけの材料をそろえ、誠意を持って伝えようとしたのかどうか。このあたりがあいまいならばもう1度、話し合ったほうがいい。

(3)日ごろからの勤務態度、実績、言動を振り返ったか?

 仕事への姿勢や実績、業績、職場での発言や行動を見直したほうがいい。上司を飛び越えれば反感を買われたり、異端扱いを受けるのは当然。そのときに足元をすくわれないようにしておく。

(4)直属上司からの報復措置への対応を考えたか?

 直属上司を飛び越える場合、何らかの形で報復されることがある。多いのはつまらない仕事をあてがわれたりしてやる気をなくさせ、評価が下がるように仕向けられるパターン。そして、他部署への追い出し。

(5)直属上司の「力」を理解しているかどうか?

 通常、上司は、誰にどのような仕事をさせるかを決める権限を持つ。それにより、気に入らない部下の評価を下げることはできる。この逆もある。直属上司が自分を正当化するために、その上の上司や役員、人事部などに、その部下の誹謗・中傷をする可能性もある。

(6)会社や職場の文化は異端を受け入れるかどうか?

 職場全体の雰囲気、ムード、文化などがそのような人を公平に扱い、受け入れるものであるかどうか。私が取材していると、歴史の浅いベンチャー企業であってもこういう会社は少ない。

(7)周囲を抱き込むようにしたかどうか?

 特に直属上司に近い先輩などに自分の考えや不満などをタイミングよく伝え、分かってもらおうとしたかどうか。自分の味方を作ろうとしているかどうか、とも言える。味方を増やしていく中で、上司との間に「交渉のテーブル」を作り、自分の意見を1つずつ受け入れてもらうことが現実的である。

(8)上司の上司はまともか?

 直属上司の上にいる役職者が最悪の人だったら、どうするか。このような人に話を持ち込むと、一段と状況が悪くなる。このことを理解したうえで、行動を取ろうとしているかどうか。

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