コラム
» 2010年07月09日 08時00分 UPDATE

吉田典史の時事日想:異議申し立てをしてもイイのか? 1つ上の上司に (1/3)

「直属の上司が無能だから、1つ上の上司に相談しようかな」と思ったことがある人もいるだろう。しかしこうした行為は組織的に許されるのだろうか。ある編集者の事例を基に、考えてみたい。

[吉田典史,Business Media 誠]

著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。

著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)、『いますぐ「さすが」と言いなさい!』(ビジネス社)など。ブログ「吉田典史の編集部」、Twitterアカウント:@katigumi


 先日、30代前半の男性からメールが届いた。そこには「最近、出版社を辞めた」と書かれてあり、私は2年前のことを思い出した。

 彼の上司である副編集長(当時42歳)とは、十数年の付き合いだ。その副編集長は、愚痴を言い始めた。

 「部下に、30代の男の編集者がいる。彼が数日前、俺たち(副編集長と編集長)を飛び越えて、部長に話を持っていった。奴は自分の能力の低さを棚上げして、居直りをしている」

 副編集長によると、部下であるその編集者は“大きなこと”を言うそうだ。だが、仕事が雑で、安心して任せられないという。それで副編集長と編集長は、編集者に報告や連絡を頻繁にさせて過ちを修正しようとしたのだ。

 しかし編集者はその扱いに不満を感じた。そして副編集長と編集長を飛び越え、部長に直訴。副編集長はその報復として、彼には難易度の高い仕事をさせて息詰まるようにした。このいびりに嫌気がさして、彼は退職し、そのことをメールで伝えてきたのだ。

 この話の中には「上司のマネジメント力」や「部下の仕事への姿勢」など、考えるべきことがいくつもある。ここでは部下が上司を飛び越え、その上の上司に不満などを持っていくことの意味について考えたい。私は以前、このことについて3人に尋ねたことがある。

 3人の結論を先に言うと、2人は飛び越える部下のことを「バカな奴」と言った。1人は「頼もしい」と答えた。それぞれを詳しく見ていこう。

3人の意見

 まず「バカな奴」と言った2人である。1人は、50代後半の役員A。会社は品川にあり、宝石の輸入販売などを行う。社員数は850人ほど。このようなことを話した。

 「部下が直属上司を飛び越えることが公式に認められている(=規則がある)ならば問題はない。そのようなルールがなければ、その上の上司に話を持ち込むのは好ましくない。部下に不満があるならば、上司にもある。直属上司ともっと話し合い、どうにもならないときは、上司からその上に伝えるのが筋ではないか」

 もう1人はベンチャー企業の経営者B(30代後半、女性)で、時おり、ビジネス系の雑誌でその活躍が紹介されている。

 「直属上司を飛び越えることについて、私は認めません。それを認めてしまうと、組織が作れないから。会社は、経営者を頂点にしたヒエラルキー。上司を飛び越えることは、私への挑戦。それを繰り返すならば、早く辞めたほうがいい」

 一方で、「頼もしい」と言ったのが50代前半の男性の経営コンサルタントC。現在、10人前後のコンサルティング会社を経営している。

 「無能上司を飛び越えてその上に直訴することは、悪くない。いまは競争社会であり、無能な上司や無能な役員に仕切らせておくと、会社は淘汰される。会社はリストラをして社員を選ぶ。社員もこういう行動をとって、挑戦状をたたきつけて闘えばいい」

       1|2|3 次のページへ

Copyright© 2017 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ

マーケット解説

- PR -

ITmedia 総力特集