不況やムック本付録の影響で、かばん市場が急縮小――矢野経済研究所調査

» 2010年07月08日 12時34分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

 矢野経済研究所は7月5日、「国内かばん・袋物市場に関する調査結果2010」を発表、2009年のかばん・袋物市場は前年度比9.2%減の9352億円(小売金額ベース)と大きく減少したことが分かった。市場規模は8年連続で縮小しているが、2009年度の減少幅はその中でも最大となっている。

 矢野経済研究所では、「2008年後半からの経済情勢の変化が、近年市場をけん引してきた『新富裕層』を含めた個人消費の冷え込みにつながり、購買頻度や購入単価が低下したことで市場規模は減少傾向にある。加えて、2009年はビジネスマンの出張機会の減少や『新型インフルエンザ』問題で、ビジネスバッグや旅行かばんの需要が低下し、エコバッグやブランドムック本のバッグブームが女性向けバッグの需要・単価の低下につながったことも、市場規模減少の要因として挙げられる」とコメントしている。

かばん・袋物小売市場規模推移(出典:矢野経済研究所)

 分野別に見ると、インポートブランド(海外ブランド)の市場規模は前年度比16.6%減の4032億円。矢野経済研究所では「リーマン・ショック後の消費マインドの大幅な低下や、大型ヒット商品の不足などが影響している」と分析している。

 一方、ドメスティックブランド(国内ブランド)の市場規模は同0.9%増の3895億円とやや拡大した。「海外・国内ブランドのライセンス商品が展開の中心だった企業が、ライセンスブランド依存型のビジネスから脱却するため、これまでつちかってきた技術力を生かした自社ブランドの展開に注力しているため、厳しい市場環境の中でも堅調に推移した」(矢野経済研究所)

かばん・袋物市場 主要分野別市場規模割合(2009年、出典:矢野経済研究所)

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