金利低下効果や金融機関の好決算期待から景気回復鈍化懸念が薄れて大幅高清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年07月08日 08時35分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10018.28△274.66

<NASDAQ>2159.47△65.59

<為替:NY終値>87.7-87.76

金利低下効果や金融機関の好決算期待から景気回復鈍化懸念が薄れて大幅高

 決算発表の本格化を前に金融機関の決算が好調と伝えられたことや住宅ローンの申請件数が2009年10月以来の高水準となったこと、また、消費者ローンの延滞率が3四半期連続で前期に比べて低下したことから金利低下の恩恵で景気回復鈍化懸念が薄れました。また、欧州での銀行に対するストレステスト(資産査定)の内容が一部明らかになり、金融不安が薄れたことから、金融株を中心に買われ、大幅高となりました。先週まで信用収縮から売られたものの買戻しや買い直しも入り大きな上昇となったものと思います。

 金融不安や金融機関に対する懸念が薄れたことでリスク許容度が上昇したということなのでしょう。為替には大きな変化は見られず、まだ買戻しが主体ということなのでしょうが、下向きのスパイラル(連鎖)が上向きのスパイラルとなったものと思います。業績期待から、この流れは基本的には続くのでしょうが、今後は業績動向などに反応して一喜一憂することになりそうです。それでも、目先的には底入れ感も出てくるものと思います。

 個別にはステート・ストリートが予想を上回る業績見通しを発表、大幅高となり、市場全体の上昇のきっかけとなり、加えて、欧州金融不安も薄れたことから、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカが大幅高となるなど金融株は軒・並み堅調となりました。投資判断の引き上げにも素直な反応となり、ジュニパー・ネットワークスが大幅高、連れてシスコシステムズも堅調、インテルやアップルなどハイテク銘柄は軒並み大幅高となり、目標株価の引き下げがあったにもかかわらずグーグルも大幅高となりました。景気回復鈍化懸念が薄れてキャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)、アルコア、モンサントなども軒並み大幅高、原油や金先物価格の上昇もあって、エクソン・モービルやシェブロンなど石油株、パブリック・ゴールドなどの金鉱株も高く、ほぼ全面高となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株が堅調、為替も落ち着いていたのですが、前日の相場の打ち返しのように特に材料のない中で売られて軟調となりました。一時大幅下落となる場面もあるなど、先行きへの懸念が根強く、戻り売りや見切り売りが嵩んだものと思われます。外国人の売り越し基調は薄れたのですが、景気回復鈍化懸念から売られました。

 米国株が大幅高となったことから、買い先行となりそうです。為替も落ち着いており、まだまだ水準は円高水準ではあるのですが、売られすぎた銘柄などから買われるものと思います。寄り付き前に機械受注統計が発表になりますが、米国株高やこれまでの下落の反動から多少芳しくない数字が出ても織り込み済みということになりそうです。逆に好調な数字が見られれば買戻しを急ぐ動きに拍車がかかり、指数を押し上げる要因となりそうです。円高懸念は残るものの売られすぎたハイテク銘柄などの反発が期待されます。

 昨日も目先筋の見切り売りが嵩むなか、底堅さも見られ、9000円を割り込む恐怖感は薄れたものと思われます。9400円の水準を抜けてくればいったん9500円〜600円水準で「窓埋め完了」ということで上値を押さえられる可能性もありそうですが、今度は9400円水準での底堅さを確認しながら戻りを試す展開となりそうです。オプションSQ(特別清算指数)算出を控えて、波乱も予想されますが、9000円割れの懸念が薄れたことで、逆に下落を想定していた向きの持高調整から指数を押し上げる可能性もありそうで、先物主導で意外高となるかもしれません。

本日の注目点

◇6月の景気ウオッチャー調査(内閣府)

◇6月のマネーストック(日銀)

◇5月の国際収支(財務省)

◇5月の機械受注統計(内閣府)

◇6月の東京都心オフィス空室率(三鬼商事)

◇6月の工作機械受注額速報(日本工作機械工業会)

◇9−5月期決算:ファストリ(9983)、3−5月期決算:吉野家HD(9861)

◇6月の豪失業率

◇欧州中央銀行(ECB)理事会

◇IMF世界経済見通し

◇6月の米小売り各社の既存店売上高

◇5月の米消費者信用残高

◇日銀支店長会議

◇30年物国債〔7月債〕入札

◇米10年物インフレ連動国債入札

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