投資からのリターンは基本的にリスクに応じて決まります。高いリターンを得ようと思えば、それに見合ったリスクを負うか、逆張りで周囲が不当に評価していないものを見出すしかありません。順張りでみんなが評価しているものの中から、高いリターンを得ようとするのは非常に難しいのが実際です。
しかし、一見、安全策と思われるものに投資するのは、リスクが過小評価され、リターンが不当に抑えられていることが多くあり、実はハイリスクローリターンであったりします。財政破たん前の国の国債がこの典型例で、投資ファンド、ヘッジファンドはこうした市場のゆがみに対して、逆張りでさや取りするのが常套手段です。それは、順張りで市場の成長に賭けるより、市場のゆがみを見つけ、それに賭けた方が、手っ取り早く確実にもうかるからです。
逆張りはリスクが高いように見えますが、少ない投資額で大きなリターンを得ることができますので、投資額つまりリスクの総量を抑えることができます。全体のリスク総量の観点からは、逆張りは、同じ額のリターンを求めて多額の資金を1つの安全策に注ぎ込むより、リスクの低い戦略といえます。
資金力が乏しく、大企業のように総張り戦略が取れない中小企業にとっては、商品開発投資、広告宣伝費などのリスクの高いものについては、今回のミズノのように、予算の使い道を絞り込んだ上で重点投資する「1点集中突破」、実績ではなく「これからの可能性への逆張り」が、非常に費用対効果の高い調達戦略です。(中ノ森清訓)
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