民主党も自民党も、“同じ穴のムジナ”かもしれない藤田正美の時事日想(1/2 ページ)

» 2010年07月05日 07時58分 公開
[藤田正美,Business Media 誠]

藤田正美の時事日想:

著者プロフィール:藤田正美

「ニューズウィーク日本版」元編集長。東京大学経済学部卒業後、「週刊東洋経済」の記者・編集者として14年間の経験を積む。1985年に「よりグローバルな視点」を求めて「ニューズウィーク日本版」創刊プロジェクトに参加。1994年〜2000年に同誌編集長、2001年〜2004年3月に同誌編集主幹を勤める。2004年4月からはフリーランスとして、インターネットを中心にコラムを執筆するほか、テレビにコメンテーターとして出演。ブログ「藤田正美の世の中まるごと“Observer”


 参議院選挙の投票日が迫ってきた。民主党政権にとっては一種の中間試験のようなものだが、菅総理は54議席(現有議席)が勝敗ラインとしている。とはいっても54議席だと連立与党で過半数に届かないから、枝野幹事長が早くもみんなの党に秋波を送って、あちこちから反発を食った。

 それはともかく昨年民主党による歴史的な政権交代が実現したときに、有権者の間では期待感が大きく膨らんだ。小泉首相が「自民党をぶっ壊す」と叫んで登場した2001年にも小泉首相の支持率は高かったが、それと同じように鳩山首相への支持は一種熱狂的ですらあった。理由は明白である。有権者には日本の政治が行き詰まっているように見えるから、それを変えてくれるリーダーシップが必要だと思っているのだ。

 だからこそ鳩山政権が、自民党時代と同じように政治とカネの問題でつまずいたとき、その対応に国民はがっかりした。国民に向かって説明すると言いながら、何だか要領を得ないやり方だったし、小沢前幹事長にいたっては国会でとうとう説明せずじまいである。だから、民主党も自民党も、同じ穴のムジナであるように見えたのである。

民主党の「透明性」に疑問符

 民主党は政治のあり方を変えると意気込んでいた。まさかそれが有権者へのリップサービスだったとは思いたくない。しかし実際にはもっとやりようがあっただろうし、やれたはずだと思うこともできていない。

 その中で一番気になるのは、政治の透明性である。最初のつまずきは官房機密費の問題である。平野前官房長官は、最初のこの問題について「知らない」といい、後で「機密費と報償費が同じものであることを知らなかった」とまた白々しい言い訳をした。さらに、その使途について「内容を明らかにすることはできない。私を信用してほしい」と開き直った。だいたい民主党が野党のときには、官房機密費の使途を明らかにすべしと主張していたのだから、その方針を変えるのなら理由を説明すべきなのである。結局、後に方針をまた転換することになるのだが、民主党の「透明性」に大きな疑問符がついた。

 こうした批判をすると、よく「コンテキスト(文脈)を無視した一言だけを取り上げて批判するのはフェアでない」というような反論をする。麻生元首相もよくそのようなことを言って、マスコミ嫌いを隠そうともしなかった。しかしそう思うなら、コンテキストを明らかにしてしまえばいいのである。記者会見の場にいなかった国民でも、その速記録を読めば、どのようなコンテキストの中で言われたかを確認することができる。結果的に、マスコミの報道をおかしいと思うこともあるかもしれない。もちろんマスコミの書いたとおりだと思うかもしれないが。

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