太陽光発電と新エネ技術が一堂に結集――PVJapan 2010(1/3 ページ)

» 2010年07月02日 14時18分 公開
[栗田昌宜,Business Media 誠]

 太陽光発電の総合イベント「PVJapan 2010」が6月30日から7月2日までの3日間、横浜のパシフィコ横浜で開催されている。

 今年で3回目を迎える同イベントを主催するのは、太陽電池セル・モジュールメーカーから施工会社、非営利組織まで、太陽光発電に関連する106の企業/団体が参加する太陽光発電協会と、マイクロエレクトロニクス、フラットパネルディスプレイ、太陽光発電関連の企業約1800社が参加するSEMI(Semiconductor Equipment and Materials International)の国内/国際業界団体。出展数は前回よりも8社多い311社/団体(共同出展を含む)。

 各社は「太陽光発電システム/周辺機器」「太陽電池/応用製品」「各種施工」「検査/測定機器」「製造装置」「部品/材料/施設」の6つのゾーンに分けられた展示会場で、それぞれの技術や製品、サービス、ソリューションを展示していた。ここでは、太陽光発電システム/周辺機器ゾーンの展示を中心にリポートしよう。

世界最高変換効率35.8%を達成した太陽電池

 太陽光発電システム/周辺機器ゾーンにブースを構えていたのは、Qセルズ、サンテック、シャープ、京セラ、三洋電機などの国内外のセル・モジュールメーカーや、パナソニック、東芝といったシステムベンダーなどだ。

 単結晶/多結晶シリコン系や薄膜シリコン系、化合物系など多彩な太陽電池バリエーションを持つシャープは、世界最高変換効率35.8%を達成した化合物3接合型太陽電池セルや、人工衛星に使用されている宇宙用化合物太陽電池セル、オーストラリア大陸横断ソーラーカーレースの優勝マシンに使用された化合物太陽電池セルのサンプルを展示していたほか、産業用(ビルなどの大規模建築物用)や住宅用などの用途に合った太陽電池バリエーションを提案。

世界最高変換効率35.8%を達成したシャープの化合物3接合型太陽電池セル

 例えば、設置面積が少ない住宅用では高効率な単結晶/多結晶シリコン系が適しているが、住宅に比べて設置の自由度が高い産業用やメガソーラー発電所などでは、変換効率では結晶シリコン系に劣るものの、温度上昇に伴う変換効率低下が少ない薄膜シリコン系の方が、年間積算発電量が多くなるケースもあるという。ブース担当者によると、どちらが費用対効果が高いかは設置場所の地価(発電出力が同じ場合は、薄膜シリコン系は結晶シリコン系より変換効率が劣るので、結晶シリコン系に比べて広い設置面積が必要)や設置方法などによっても違ってくるので、両者をよく比較検討してより適した方を選んでほしいという。

多彩な製品バリエーションを持つシャープは、用途や設置場所などに合わせてさまざまなタイプの太陽電池を提案する

 多結晶シリコン系太陽電池メーカーの京セラは、産業用/住宅用の太陽電池モジュールを展示。また、トヨタ自動車のハイブリッド自動車「プリウス」のメーカーオプションやプレジャーボートのオプションユニット用に供給している太陽電池モジュールのサンプルも展示していた。

京セラが供給しているプレジャーボートのオプションユニット用太陽電池モジュール

 アモルファスと多接合型の薄膜シリコン系太陽電池メーカーのカネカは、薄膜系の特徴が生かせる分野として注力してきた建材一体型の太陽電池モジュールを展示。化粧スレート型と瓦一体型の2バリエーションがあり、防水性や耐風性など屋根材としての基本性能を備えているほか、屋根と一体化した外観を実現できるという。瓦一体型の太陽電池モジュールは、シャープと京セラのブースでも展示されていた。

カネカの瓦一体型太陽電池モジュール「VISOLA」
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