米国株安や中国の経済指標を受けて売られ、連日の大幅安清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年07月01日 16時05分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 月替わりとなってもいっこうに下げ止まりません。米国株安や円高を嫌気、中国の経済指標悪化を受けてとの解説がなされていますが、リスク回避の動き、信用収縮からの持高調整の動きが月が替わっても続いているといるということなのだと思います。円高に振れたことで輸出株が売られるのは分かりますが、日銀短観でも足元の景況感の良さが確認されたのですが、内需株にも軟調なものが多くなっています。

 日銀短観が予想を上回ったと発表されたときには特に為替に動きはなく、円高に振れることもなく、逆に円安となる場面も見られたのですが、中国の経済指標が予想を下回ると「好況」にも関わらず、円が買われて株が売られるというおかしな(?)動きとなっています。悪いことに妙に敏感に反応しているということなのでしょうが、単純に中国の指標に反応しているとか円高に反応しているということでもないと思います。

 実効為替レートで見ても昨年11月の「ドバイショック」時を超えて円高に振れているとのことですが、ここまで国債の利回りが低下するなかで円を買うメリットがどこまであるのか、疑問に思います。「日本買い」ということであれば、景況感も悪くないのですから、株が買われる、輸出株が無理であれば好業績と見られる内需株が買われてもおかしくはないのでしょうし、国債の発行が増えると見られるなかで、国債を買い進む理由も特に見当たりません。

 目先的に債券を株式感覚で買っているのであれば、円高=債券高で儲かるわけですから、買い急ぐ理由も理解できるのですが、もしそうであるとするならば、「投機的な動き」で円と債券が買われているのであり、いずれ「バブル」が弾けるように債券の利益を確保し、円の利益を確保するような動きになって来るのでしょう。何事も「行き過ぎ」ということは常にあることなのですが、後はどのタイミングでまたこの流れが逆に回転していくのか、というところです。米雇用統計などで芳しくない数字が出ると、案外「出尽くし」ということで逆回転が始まるのかもしれません。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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