世界的な景気鈍化懸念や欧州金融不安からの信用収縮が進み大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年06月30日 08時24分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>9870.30▼268.22

<NASDAQ>2135.18▼85.47

<為替:NY終値>88.59-88.65

世界的な景気鈍化懸念や欧州金融不安からの信用収縮が進み大幅下落

 朝方発表された住宅価格指数はまだ4月の数字ということもあり、堅調となったのですが、前日の夕刻に中国の4月の景気先行指標総合指数(民間調査)が下方修正されたこともあり、寄付きから売り先行となりました。欧州での長期オペの終了を控えて欧州金融機関に対する不安も募り、中国では需給の悪化で株価が暴落していたこともあり、また、午前中に発表された消費者信頼感指数が予想を下回ったこともあって、米国市場も大幅下落となりました。企業業績は慎重な見方はあるものの、足元の業績が決して悪いわけでもなく、過剰反応気味ではあるのですが、景気回復スピードの鈍化も見られることから、売り急ぐ展開となりました。

 世界同時株安となりましたが、それぞれの地域で下落材料は違っているようです。ただ、総じていえることは最悪な経済状態から順調な回復となっていたものが、ふと足元を見て見ると不安が多く、もう一度しっかりと足元を見つめ直しているというような感じで、センチメントが悪化しているようです。「それほど心配ない」というようなシグナル、コメント、指標などが見られるまでは疑心暗鬼な相場で下値を探ることになるのかもしれません。

 個別には中国景気鈍化を嫌気するように、米国外で収益を上げていいるようなキャタピラーなどの景気敏感株が大幅下落、マイクロソフト、ヤフー、アップル、IBM、グーグルなどハイテク銘柄なども軒並み大幅下落となりました。欧州の金融不安が高まったこともあり、銀行株も安く、シティグループ、JPモルガン・チェース、バンク・オブ・アメリカも大幅下落となりました。航空機発注がキャンセルとなる可能性があると報じられてボーイングも大幅安、信用収縮から商品相場も軟調となり、アルコアが大幅下落、エクソン・モービルなども軟調となりました。投資判断の引き上げのあったウォルト・ディズニー、金価格の上昇にもかかわらずパブリック・ゴールドも軟調となり、ほぼ全面安となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は前場は堅調でしたが、後場に入ると為替が円高に振れたことや持高調整の売り、リスク回避の動きから売り急ぐ展開となり、大幅下落となりました。先物主導で下げを加速する場面もあり、買い手控え気分の強い中で大きな下げとなりました。景気の先行きに対する警戒感も根強く、ちょっとした売り材料が出ると買い気に乏しいだけに大きな下げとなってしまうようです。

 米国株が大幅下落となったことや為替が大きく円高に振れたことから売り先行となりそうです。ただ、円高一服となるような場面や5月・6月の安値を意識するような水準では下げ渋りとなって来るのではないかと思います。先行きの景気に対する警戒感は根強く、買い手不在の中で売り急ぐ動きも見られるのでしょうが、月末の「お化粧買い」期待もあり、底堅さが見られるかもしれません。円高を嫌気してハイテク銘柄や自動車株など輸出関連銘柄は売られてしまいそうですが、円高メリットのある内需株がどこまで指数を支えられるのかが注目されます。

 足元の業績面で不安はないのですが、世界的な景気減速懸念から下値を試す動きとなりそうです。9500円水準を割り込んだところで底堅さが見られるのか、5月27日や6月9日の安値水準である9300円台まで下落となるのかが注目されますが、為替の状況や先行きの景況感に対してはその時よりも更に状況が悪化しており、今後は昨年7月や11月の安値水準である9000円近くまで下落となる可能性もありそうです。9500円割れから買いが入ってくるようであれば、改めて底堅さを確認することになるのでしょう。

本日の注目点

◇5月の毎月勤労統計速報(厚労省)

◇5月の住宅着工戸数(国交省)

◇5月の建設工事受注(国交省)

◇6月の為替介入実績(財務省)

◇5月期決算:日本オラクル(4716)

◇3−5月期決算:しまむら(8227)

◇6月のオートマチックデータプロセッシング(ADP)全米雇用リポート

◇6月の米シカゴ購買部協会景気指数(PMI)

◇海外3−5月期決算:モンサント

◇6月のユーロ圏インフレ率

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