前場は持高調整の買戻しで堅調、後場は円高を嫌気して大幅安清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年06月29日 16時00分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 相変わらず閑散とした相場の中で後場から軟調となりました。前場は持高調整の買戻しもあり堅調となっていましたが、昼の間に為替が円高に振れたことから、後場に入ると見切売りも嵩んで軟調となりました。前場は寄り付きからの買いが一巡した後は小動きとなりましたが、後場はまとった売りが散発的に見られ、指数を下押す要因となりました。特に材料がでたわけでもないのでしょうが、手掛かり難の中、為替に敏感に反応したということなのでしょう。

 手掛かり難の中、予想に反して為替に敏感に反応しハイテク銘柄などを中心に見切り売りが嵩みました。売り急がなければならない理由も特にないのですが、為替に動きが見られたことで、先行きに対する恐怖感が強まり、売り急ぐ動きとなったものと思います。6月という月であり、持高調整の売り買い、ファンドなどの手仕舞い売りも懸念され、株価が下がるとそうした売りが出ているのではないかと疑心暗鬼になって売り急ぐことになるのでしょう。

 前場の段階では、後場もそれほど動かないだろうと思われたのですが、後場に入ってから円高に進んだことで見切売りが嵩んだものと思われます。明日は月末ということで「お化粧買い」も期待されたのですが、大きく円高に振れたことで、明日まで待てないということなのでしょう。最近は売買高も少なく、ますます市場参加者が少なくなっているようで、ちょっとした売り材料が出ると売りが売りを呼ぶような格好となっているようです。落ち着いて株式を保有するという動きが少ないものと思います。

 株主総会などを見ると、しっかりと株を持ち続けている人も多いように思われるのですが、どうしても目先筋の動きに振らされることが多いような気がします。株式を保有することのメリットがあまり無いということなのだと思いますが、税制などで、株式を保有しているとメリットのあるような施策(例えば株式で相続、贈与すると時価の3カ月平均の半分で評価される、とか)でも見られないと株式市場に活況は戻ってこないのかと思ってしまいます。株式を売買する楽しみではなく、保有する楽しみを味わえるような市場が期待されます。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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