主要経済指標の発表を控えて小動き清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年06月29日 08時56分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10138.52▼5.29

<NASDAQ>2220.65▼2.83

<為替:NY終値>89.36-89.42

引き続き景気回復鈍化懸念が根強く、主要経済指標の発表を控えて小動き

 朝方発表になった5月の個人消費支出(PCE)が予想を若干上回って増加したことや前日までの下落の反動から買い先行となりました。ただ、週末のG20で財政赤字縮小を打ち出したことで、景気の回復が遅れるのではないかとの懸念が強まり、上値を押さえる展開となりました。それでも、売られすぎたディフェンシブ銘柄や業績好調と伝えられる銘柄などが個別に買われ、指数を下支えする格好となり、軟調ながらも底堅い展開となりました。

 欧州の財政赤字削減からの景気腰折れ懸念などもあり、強気になり切れない面もあるのでしょうが、足元の景況感に対する懸念もあり、週後半の主要な経済指標、雇用指標などを見極めたいという動きもあるようです。加えて、月末を控えて積極的に持高を増やすというよりは持高調整の動きもあり、業績好調と伝えられても上値も限定的となるようです。金融不安も根強いために、信用収縮=リスク許容度の低下も続いており、持高調整の売りが嵩んでいる面もあるものと思います。

 個別には新型の高機能携帯電話の販売が好調と発表したアップルが堅調、IBMやインテル、シスコシステムズなどのハイテク銘柄は買い直しの動きも見られて堅調となるものも目立ちました。コカ・コーラやウォルマート、プロクター・アンド・ギャンブルなど消費関連銘柄も個人消費の底堅さが見られることから堅調となりました。景気敏感銘柄はまちまちの動きでアルコアやキャタピラーは軟調、GE(ゼネラル・エレクトリック)は堅調となり、銀行株もシティグループは堅調でしたが、バンク・オブ・アメリカやJPモルガン・チェースは軟調とまちまちとなっていました。商品相場が軟調となったことで、エクソン・モービルなど石油株やニューモント・マイニングなどの金鉱株は軒並み軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は週末の大幅下落の反動もあって買い先行となりましたが、寄り付きの買戻しが一巡すると外国人も売り越しと伝えられたこともあり、上値の重い展開となりました。持高調整の売りも引き続き見られたようで、終始上値を押さえる展開となったのですが、売り急ぐような展開にもならず、底堅さも見られ、指数は方向感なく小動きとなりました。月末近くで積極的に持高を増やし難いことに加え、為替も動かず、日米の注目される指標の発表も控えていることから、様子見気分も強まったものと思います。

 米国市場は方向感がなく底値固めのような展開となっていますが、日本市場も主要な経済指標などの発表を控えて動き難く、底値を固めるように小動きとなりそうです。ユーロ安となったことで、輸出関連銘柄の一角が売られ、指数を押し下げる場面もありそうで、持高調整の売りが出るようであれば、米国株以上に売られてしまいそうです。逆に月末の「お化粧買い」期待の買いが入れば買戻しを急ぐことになり底堅い、堅調な展開となるのでしょう。いずれにしても目先の需給に振らされることになりそうです。足元の業績が好調な内需銘柄やディフェンシブ銘柄などが物色されるものと思います。

 日経平均は9800円水準を保ち切れなかったということになりそうです。今度は9500円〜600円水準の節目を確かめるように9600円台を固めることになるのか、9500円台に突っ込んで底入れ感が出てくるのか、というところです。一目均衡表の遅行線がちょうど5月の安値水準の日柄にあり、ここで底堅さが見られれば底入れ感も出て、買戻しなどからしっかりと9700円台から800円前後での底堅さを確認することになるのでしょう。本日堅調となるようであれば、底堅さが確認されることになりそうです。

本日の注目点

◇5月の完全失業率(総務省)

◇5月の家計調査(総務省)

◇5月の有効求人倍率(厚労省)

◇5月の鉱工業生産指数速報(経産省)

◇5月の自動車生産輸出実績(自工会)

◇3−5月期決算:Jフロント(3086)

◇4月の米S&P/ケース・シラー住宅価格指数

◇6月の米消費者信頼感指数

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