金融規制強化懸念が薄れて底堅く堅調な展開清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年06月28日 08時36分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10143.81▼8.99

<NASDAQ>2223.48△6.06

<為替:NY終値>89.19-89.25

景気回復鈍化懸念は依然強いものの金融規制強化懸念が薄れて底堅く堅調な展開

 1−3月期の実質国内総生産(GDP)確定値が下方修正され、市場予想も下回ったことから引き続き景気回復鈍化懸念が取り沙汰されて売られる一方で、週末のG20で景気回復のための協調が得られそうだとの観測や米金融規制改革法案が上下院で合意、デリバティブ(金融派生商品)取引などへの規制が後退したことを好感する動きから堅調となりました。金融規制が5月に上院で可決した法案に比べて緩和されたことを受けて、信用収縮が一段落、商品相場なども上昇したことから、金融株や素材株などが買われ、週末の持高調整の売りこなして底堅い堅調な展開となりました。

 欧州金融不安からの世界的な景気回復鈍化に対する懸念は各国が共有できているようで、米国での金融規制強化懸念も薄れたことでリスク資産への投資資金の流出懸念が薄れたということでしょう。まだ、景気回復スピードがいくらか鈍化はしているものの、景気減速というところまではいかず、ここでしっかりと景気回復を下支えするような施策が見られれば底堅さを確認して、企業業績の回復が個人消費の回復にも結びついてくるものと思います。

 個別には前日引け後に発表した3−5月期決算が増収増益となり、1株利益が市場予想を上回ったオラクルが上昇、商品相場が堅調となったことで、アルコアなどの素材株が堅調となりました。金融規制強化が緩和されたことを受けて、JPモルガン・チェースやアメリカン・エキスプレスが大幅高、バンク・オブ・アメリカなど金融株が高くなりました。前日引け後に発表した四半期決算で売り上げ高が市場予想に届かなかったリサーチ・イン・モーションが大幅安、朝方発表した四半期決算で受注が大幅に減少したKBホームも大幅下落となりました。

本日の相場

日経平均

 先週末の日本市場は米国株安を受けて売り先行となり。持高調整の売りなども見られたこともあって大幅安となりました。世界的な景気回復鈍化懸念や金融規制強化懸念からの処分売りなども出ていたものと思います。足元の業績などとは関係なく、先行きへの懸念だけで売りが嵩み、大きな下落となったものと思われます。米国市場も日本市場もそれほど売り急ぐだけの材料も見られませんでしたがセンチメントの悪いところで、悪材料に過剰な反応となったのでしょう。

 週末の米国で金融規制法案が緩和されたことやG20で金融規制強化が見送られ、各国の景気を支える協調が確認されたことから、日本市場は堅調な展開が期待されます。先週末まで特に売り急ぐ材料があったわけでもないにもかかわらず、軟調となっていたこともあり、底堅さが確認されればしっかりと戻りを試す展開となりそうです。海外市場で商品相場が堅調となっていたこともあり、商社株や非鉄株などは反動が期待され、各国の景気をめぐる協調姿勢が示されたことから、為替の動きを見ながらということになるのでしょうが、ハイテク銘柄なども反発が期待されます。

 日経平均は週末には少し売られ過ぎた感もあり、底堅さは見られるのではないかと思います。節目と見られる9800円〜900円を割り込んでしまったようにも見られますが、節目と言う意味で9700円を割り込んで引けなかったことで、本日9800円をしっかりと保つようであれば底堅さを確認したということになり、買戻しなども見られるものと思います。戻りを試す場面でもいったんは10000円水準が「壁」となる可能性はありますが、10100円台半ばから200円台半ばまでは戻るものと思います。まずは本日の相場でしっかりと9800円台以上で引けてくるのかどうかと言うところです。

本日の注目点

◇5月の商業販売統計速報(経産省)

◇5月の自動車各社の生産販売実績

◇3−5月期決算:高島屋(8233)

◇5月の米個人所得

◇5月の米個人消費支出(PCE)

◇海外3−5月期決算:マイクロンテクノロジー

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