1000形の客室はクーラー+扇風機という最強の組み合わせ。ルーバーではなく扇風機というあたりが「昭和の電車」らしさである。そういえば1000形の顔も典型的な昭和風。中央に扉があって、小さな窓が横並びに3枚。窓を目に、扉を鼻に、扉の下にある貫通路用のステップを口に見立てると、なんとなくおじいちゃんの顔に見える。戦後から高度成長期にかけて、このスタイルの電車が多かった。最近は前面に大きな曲面ガラスを使った電車が増えているが、こういったデザインの電車は、設計や強度計算をコンピューターでやるようになってから登場したのかもしれないな、などと、ITライターっぽいことを思いながら1000形を眺めていた。いや、確かめたわけではないのだが。
京急川崎駅を出た電車は、左手に高架の本線への連絡線、留置線を眺めつつ、踏切を渡って右へカーブ。多摩川の土手に沿って走る。坂を下って上って国道の下を通り抜け、最初の駅は「港町」。港町といっても港らしい風景はなく、地元の人々には川崎競馬場の最寄り駅として知られている。多摩川のほうは空き地。臨時改札があったが、今は使われていないようだ。
その空き地を見ながら次の駅へ向かうと、大きなアミノ酸タンクが見える。続いて船着き場と水門。その水門の上は通路になっている。ここは味の素の川崎工場だ。次の駅「鈴木町」の「鈴木」は、味の素の前身、鈴木商店の創業者に由来する。大師線はローカル線と書いたけれど、味の素の通勤客でかなり混雑するらしい。日中も味の素を訪問するスーツ姿の人たちが乗り降りする。
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