景気回復鈍化懸念が強まり、金融規制強化懸念もあって大幅下落清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年06月25日 08時46分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10152.80▼145.64

<NASDAQ>2217.42▼36.81

<為替:NY終値>89.61-89.67

景気回復鈍化懸念が強まり、金融規制強化懸念もあって大幅下落

 朝方発表された耐久財受注は予想を上回り減少幅が少なく、新規失業保険申請件数も予想よりも雇用の堅調さが見られたのですが、欧州での金融不安が強まっていることに加え、昨日のFOMC(公開市場委員会)で景気回復が芳しくないと示され、加えて昨日の引け後に発表された個人消費関連企業の決算も芳しくなかったことから、住宅に続き個人消費の回復に対する懸念も強まり手仕舞い売りも嵩んだものと思われます。

 週末のG8やG20で金融規制の問題が取りざたされるのではないかとの思惑や米国の金融改革法案に対する懸念から金融株なども売られ、また、原油流出事故を巡って沖合海底油田の開発事業の不透明感などから資源・エネルギー株が売られるといった状況で軟調となりました。欧州景気の先行き懸念から、米国企業の収益悪化も懸念されて大きな下落となったものと思います。センチメントが下を向いてしまい、悪材料には敏感な反応となっているようです。

 個別には前日の引け後に予想を下回る決算や見通しを発表したナイキやベッド・バス・アンド・ビヨンドが大幅安、個人消費への懸念からホーム・デポやベスト・バイ、メーシーズ、JCペニーなど個人消費関連銘柄が軒並み軟調となり、新型高機能携帯電話を発売したアップルも売られ、ハイテク銘柄も景気回復鈍化が懸念されて軒並み売られました。中でも前日の引け後に発表した売り上げ見通しが予想の範囲内としたデルは大幅下落となりました。金融改革法案に対する懸念も浮上、JPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカ、シティグループなど金融株も軒並み軟調となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は底堅さも見られたのですが上値も重く、方向感のない展開となりました。一時10000円回復となる場面もあったのですが、最後はまで買いが続かず手仕舞い売りに押されて上げ幅を縮小、ほぼ横ばいという水準で引けました。食品株、医薬品株などのディフェンシブ銘柄や不動産株や建設株などの内需株が堅調となり、指数の下支えとなったものと思われます。海外市場で円高に振れたことでハイテク銘柄など輸出株が軟調となりましたが、大きく下押すものも少なく、底堅い展開となりました。

 米国株が大幅下落となったことから、日本市場も軟調な展開となりそうです。特に業績にかげりが見られるということでもないのでしょうが、先行きに対する不安が根強い中で、欧州では金融不安がくすぶり、米国でも景気回復鈍化が取りざたされると先行きに対して慎重な見方も増えるものと思います。ただ、足元の業績が好調として6月までの四半期業績などを上方修正するものも見られ始めていることもあり、底堅さも期待されるものと思います。為替の動き次第という感じでもありますが、内需銘柄などを幕間つなぎ的に物色する動きになるものと思います。

 日経平均は押し目を探る動きとなりそうです。下値の節目とすれば、9800円〜900円水準であり、本日は米国市場も軟調となり、シカゴ市場(CME)の日経平均先物も9800円を割り込んでいるのですが、9800円水準で下げ止まるのかどうか、9800円を割り込むところでは買戻しが入るのかどうかなどが注目されるものと思われます。9800円前後あるいは9700円台での底堅さが見られれば、週末の手仕舞い売りをこなして、戻り歩調となる場面もありそうです。

本日の注目点

◇5月の全国6月の都区部消費者物価指数(CPI、総務省、8:30)

◇6月の米消費者態度指数(確報値、ミシガン大学調べ)

◇1−3月期の米実質国内総生産(GDP、確定値)

◇主要8カ国(G8)首脳会議(カナダムスコカ、26日まで)

◇20カ国地域(G20)首脳会議(カナダトロント、26〜27日)

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