コラム
» 2010年06月25日 08時00分 UPDATE

ゆとり世代を批判する“実はゆとり”な世代

学習指導要領の改訂によって、学力がほかの世代に比べて落ちると言われる“ゆとり世代”。特にネット上では、ゆとり世代に対する批判がよく見られるが、筆者はその風潮に意義を呈する。

[川口雅裕,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール

川口雅裕(かわぐち・まさひろ)

イニシアチブ・パートナーズ代表。京都大学教育学部卒業後、1988年にリクルートコスモス(現コスモスイニシア)入社。人事部門で組織人事・制度設計・労務管理・採用・教育研修などに携わったのち、経営企画室で広報(メディア対応・IR)および経営企画を担当。2003年より株式会社マングローブ取締役・関西支社長。2010年1月にイニシアチブ・パートナーズを設立。ブログ「関西の人事コンサルタントのブログ


 ゆとり世代が社会に出てくるようになって、彼らをさげすんだり、馬鹿にしたりするような物言いが(特にネット上では)目に付きますが、その内容については異議があります。

 例えば、「ゆとり世代は学力が低い」という点については、そもそも「ゆとり教育」になって、いきなり学校で学ぶ分量や時間が減ったわけではなく、恐らく30年くらい前からすでに教科書の分量は徐々に減ってきていているので、「現在40歳代の人たちも含めて、徐々に学力は低下してきていたんじゃないか」という見方もできます。少なくとも、自分たちはマトモなのに、突然これまで見たことがないような学力の低い世代が誕生したように言うのは当たっていないでしょう。

 「常識や振る舞いがなっていない」という指摘もありますが、そんなことは昔から学校のカリキュラムにはなかったわけで、ゆとり教育が原因でないことは明らかです。常識というものは親や大人や先輩を見て、マネをしながら学ぶような類のものであって、彼らが「あいさつもできん」「言葉遣いがなってない」「マナーを知らない」のであれば、親や大人や先輩がそうだからではないのかと思います。

 「あいさつもできん」「言葉遣いがなってない」「マナーを知らない」上司や大人を会社でも街でも見かけますが、それをマネしているだけではないか。少なくとも、自分たちはマトモなのに、突然これまで見たことがないような常識のない世代が誕生したように言うのは勝手な話です。

“実はゆとり”な世代

 だいたい、ゆとり世代をバッシングして、何かいいことがあるのでしょうか。つまらないネタを書き続けて政権をバッシングし、支持率を落として総理を替えて、したり顔をするメディアと一緒で、まったくメリットのない、生産性のないことをやっているようにしか見えません。世代間の争いはやめて、「共生するにはどうしたらいいか」「彼らがちゃんと就職して、仕事の力を付けて、これからを背負えるようになるためには、どうしたらいいか」を考えることが大切なのではないかと思うわけです。

 夕方の早い時間から居酒屋に繰り出して、「退職金がいくらになるか」とか、「今度の賞与がどうなるか」とかいう算数と、社内政治と自分の身の処し方、部下や他部署の批判などをのん気に語っている人たちを見ると、「何とゆとりのある人たちだろう」と感じます。

 「ゆとり世代」という呼称は、実はこちらの世代にふさわしい。そんなことを言うと、「こっちは昔苦労して、今の立場や処遇を手に入れたんだ」とおっしゃるでしょうが、20年も成長が止まっている大変な時代には上の人間が身体を張り、骨身を削るのが当然と考えますし、今の若者世代を作った責任だって全員に少しずつはあるはずなのです。(川口雅裕)

 →川口雅裕氏のバックナンバー

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