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» 2010年06月23日 08時00分 UPDATE

それゆけ! カナモリさん:ソニー「背景をぼかす」のとってもシャープな切り口 (1/2)

「背景をぼかす。心が動きだす。」などのキャッチコピーで展開する、ソニーのCM。「背景ぼかしコントロール搭載」を徹底訴求している。その戦略は実にシャープなのである。

[金森努,GLOBIS.JP]
GLOBIS.JP

それゆけ! カナモリさんとは?

グロービスで受講生に愛のムチをふるうマーケティング講師、金森努氏が森羅万象を切るコラム。街歩きや膨大な数の雑誌、書籍などから発掘したニュースを、経営理論と豊富な引き出しでひも解き、人情と感性で味付けする。そんな“金森ワールド”をご堪能下さい。

※本記事は、GLOBIS.JPにおいて、2009年6月18日に掲載されたものです。金森氏の最新の記事はGLOBIS.JPで読むことができます。


ah_kana1.jpg Creative commons.Some rights reserved.Photo by MJTR (´・ω・)

 浅野忠信が屋久島の自然を旅し、北川景子が故郷の神戸を訪れるCMシリーズを展開するデジタル一眼カメラ・ソニーαNEX−5・NEX−3。同機種はデジタル一眼カメラの中でも新世代と言われる「ミラーレス」カテゴリーに属している。

 「ミラーレス」の特徴は、レンズ交換が可能でありながら、光学ファインダーを取り除いて液晶ファインダーに特化したことによる形状/コンパクトさである。フィルムカメラ時代から一眼カメラの特徴であったレンズ上の突起部分がなくなり、見た目はレンズの大きさを除けばコンパクトデジカメとほとんど変わらない形状となっている。

 ミラーレス一眼カメラは、そのサイズや、液晶で見たままを撮影できるという気軽さから、コンパクトデジカメからの買い換え、一眼カメラエントリー層の需要を取り込んでヒットしている。週刊東洋経済3月27日号の記事によれば、数カ月で一眼カメラ(一眼レフと超小型を含む)の国内市場規模(約550億円)の2割まで達したという。

 従来の一眼カメラは、キヤノン、ニコンが世界で圧倒的シェアを握っていたが、この超小型市場は、昨夏、オリンパスの「PEN」が上市され火がついた。以前このコラムでも「宮崎あおいの二面戦略『一眼デジカメオリンパス・ペン』」と紹介したが、その宮崎あおいのCMと、往年のフィルムカメラの名ブランドを冠して若い女性と中高年男性の両方に大ヒットした。ほかにも、樋口可南子が女性向けで使いやすさを徹底訴求するCMを展開するパナソニック「LUMIX G2」などの強豪揃いである。

 強豪ひしめくカテゴリーで、αがCMで繰り返し訴求しているのは、前述の「背景ぼかしコントロール」だ。被写体だけにピントを合わせ、背景をぼかすという「プロっぽい」写真が手軽に取れることが売り物である。

 実はこの撮影方法、ちょっと写真をかじった人間であれば、そんなに難しくない。中・高と写真部にも属していた筆者が解説すると、基本はレンズの絞りを開き、シャッター速度を速めること。つまり、ピントが合う範囲・被写界深度を浅くすることで、狙った部分と前後に距離がある場所はぼけることになる。

 しかし、全自動のカメラではなかなかそれはできない。簡単にやるなら、人物写真ならズームを望遠にして、さらに被写体の背景を遠くにすれば結構いい具合にぼける。だが、うまくそんな状況設定をするのは難しかったりする。

 「面倒な手間をかけずに、いつでも“プロっぽい写真”を撮りたい!」という、多くの人のニーズに応えたのが「背景ぼかしコントロール」なのだ。カメラを映したいものに向け、液晶画面横の「コントロールホイール」を回せば、好みのぼけ具合が無段階で調節できる。あとはシャッターを押すだけ。確かに仕上がりはプロっぽくなる。北川景子バージョンのコピーである「背景をぼかす。心が動きだす。胸が高鳴る」になってしまうわけだ。

 ではソニーはなぜ「ぼかし」だけを訴求してきているのか。それはこのカテゴリーの顧客特性と関係がある。

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