欧州金融不安が取りざたされ、昨日の大幅高の反動もあって大幅下落清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年06月22日 15時51分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 昨日の大幅高の反動から大幅安となりました。相変わらず欧州金融不安などが取りざたされていますが、「サブプライムの亡霊」に取り付かれているかのようなちょっとしたニュースなどで信用収縮=リスクを回避する動きとなってしまうようです。資金の循環という意味では商品相場などの「投機的な資金」が縮小しただけで、大きな流れは変わっていないと思われます。加えて、日本でも個人消費には変化も見られるように、個人ベースでの先行きに対する恐怖感は薄れているのではないかと思います。

 欧州金融不安というけれど、欧州金融機関のお金が無くなってしまうのではないかとの懸念が根強いことや、日本や米国などでは「お金を使わない」ことでの資金の滞りが個人でも企業でも見られ、資金の回転が悪いということなのでしょう。ただ、中国を筆頭に新興国ではインフレが進んでいることに加え、生活水準の向上からお金を使うような動きになっており、いわゆる「中間購買層」と言われる人達が増えていることを考えると、いずれ新興国だけではなく、日本やアメリカも資金が使えるようになって来るのではないかと思います。

 新興国で資金が必要になったときに、欧米で運用されていた資金が新興国に向かい、新興国で運用されるという流れは見られるのではないかと思います。そしてその新興国のお金が米国債購入や金の購入として流れているのではないかと思います。「サブプライムショック」も結局、そうした資金が「サブプライムローン」や「サブプライムローンを組み入れた商品」に流れ、結果的に運用に失敗したことがショックの要因であり、欧州金融不安といっても、サブプライムと同列には考え難いと思います。

 中国の内需の拡大なども資金の流れを良くしている面もあるものと思われ、欧州金融不安などに疑心暗鬼になりすぎているのではないかと思います。今後は新興国を中心とした資金がしっかりと先進国の企業に流れ、その資金が先進国の個人(従業員)に流れて、個人消費の底入れ感が出てくるのかどうかで相場全体の方向性も見えてくるのではないかと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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