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» 2010年06月22日 08時00分 UPDATE

インタビュー:アントン・ベーケ 「ポスト・フォッシル」展より

東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHTで開催中の「ポスト・フォッシル:未来のデザイン発掘」展連動企画、リレーインタビュー。参加作家のアントン・ベーケ氏に聞く。

[草野恵子,エキサイトイズム]
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※この記事は、エキサイトイズムより転載しています。


 東京・六本木の21_21 DESIGN SIGHTで開催中の「ポスト・フォッシル:未来のデザイン発掘」展。ダイナミックな作品が立ち並ぶ中、繊細なガラスのタイポグラフィが敷き詰められた作品「射精(eiaculatum)」は、訪れた人に鮮烈な印象を残している。

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 オランダ語で「eiaculatum」とは、「射精、精液」のこと。ガラスで形作られたこのタイポグラフィは、ひとつひとつがいまにも動きそうな、みずみずしい魅力に満ちている。

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 作者は、オランダの著名なグラフィック・デザイナー、アントン・ベーケ氏。女性の裸体をタイポグラフィにあしらった作品「ネイキッド・レディース・アルファベット」や、数々の革新的なグラフィック・デザインで知られている人物だ。今回の作品について、話を聞いた。

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作品について、発案から実際の製作までの期間、この素材を選んだ理由を教えてください。

 ガラスを溶かしたものを素材に使っているのですが、この素材はとてもコントロールしにくいものなんです。毎回違うものが出来上がるため、つねに新しく、この作品は終わることなく続いています。

 なぜガラスという素材を選んだかというと、ひとつには「コントロールすることがもっとも難しい」ということが、この作品のテーマ「精液」とぴったり合ったから。つまり、そのもの自体に生命があるような素材だからなのです。「精液」という単語には汚いようなイメージがつきまとうけれども、実はすべての生命の根源です。この作品はタイポグラフィとしては初めての生命を持ったものだと思います。コンピュータでは決して生まれないタイポグラフィ、ひとつとして同じ顔を持っていないのですから。

今回の作品はもちろん、これまでの数々の作品には、生命が宿っているような感覚を覚えます。作品の命、それはどのように生まれるのでしょうか。

 誰が見て、どう感じて、どう扱うのか――そういう、非常にベーシックなことを子どものような気持ちで感じながら、作品に向き合うこと――それが、一番革新的なことに結び付くと思うのです。「one of them(そのほか大勢)」の気持ちを忘れないことがすべてではないでしょうか。

21世紀に入って10年が経とうとしています。今後、デザイナー、アーティスト、クリエイターが担うべきこととは?

 昔から踏襲されてきたやり方を知りながらも、つねに「自分ならどうするか」と、課題を前にしてまっさらな気持ちで向き合う姿勢が大事だと思っています。そこには既成概念は介在しないのです。

今後挑戦してみたいことを教えてください。

 このガラスのタイポグラフィはさらに成長して大きくなっていくことになるでしょう。精子ですから、これが何かと結び付いて、別のものが生まれることもあるかもしれません。それから来年、オランダで過去の作品を振り返る展覧会を行う予定があります。場所はまだはっきりとは決まっていないのですが。

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Anthon Beeke(アントン・ベーケ)

デザイナー。1940年生まれ。オランダを活動拠点とする。アムステルダムのToneelgroepのために制作したポスター「the Theatercompagnie」と「the Kunstrai」が話題を呼んでいるグラフィックデザイナー。一方で、展覧会企画から美術館の内装、ホームスタイリング、本や雑誌、ロゴ、郵便切手、カタログデザイン、TVCMやパッケージ、子供のためのゲームや広告キャンペーンまで、活動は多岐にわたる。彼のデザインの多くはさまざまな賞を授与されているが、中でも最も輝かしいものは、1999年の終わりに、20世紀のオランダデザインを代表する5人のデザイナーの中に選ばれたこと。オランダ国内はもちろん海外のいくつかの学校で講師を勤めた。


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