北陸3県には、殺人事件が起こりにくい風土があるのだろうか?
そういう視点で調べてみると、NHK文化放送研究所「現代の県民気質」より抜粋された「都道府県民の信仰」というデータが見つかった。都道府県民がどのような宗教・宗派を信じているか、またその合計値として信仰をもっている人の比率を示したもので、信仰を有している者の全国平均(都道府県の値を人口比で加重平均したもの)は31.2%とある。
その中で特筆すべきなのは、都道府県別他殺率ランキングで下位を占めていた北陸3県が突出して信仰率が高いことである。全国1位は福井県の58.0%。富山県は49.3%、石川県も43.7%と軒並み高い。ほかに広島県や長崎県の信仰を持っている比率が高いのも特徴的だが、被爆という特殊な体験を経た上での結果であるとも考えられるので、日本の一般的な歴史の中で一番深く信仰が根付いているのが北陸3県と言えるだろう。
一方、一番信仰が薄い都道府県は沖縄県の7.8%。信仰と他殺率を直接的に結びつける論拠を持ち合わせてはいないが、このデータを比較する限り、突出して信仰の厚い地域では、殺人事件が起こる率が低い。
民主党政権下で、「GDP(国内総生産)より、GNH(Gross National Happiness=国民総幸福量)を指標に、国作りをしよう」という動きが浮き彫りになってきている。人口も減少する。消費が伸びる予測は難しいから成長戦略は描けない。だから、経済的な指標よりも、国作りを「幸せ」という指標に置き換えて、成長しなくても豊かな社会だと感じる「幸せの知恵」を身につけた国民になろうということである。
このGNHを測る上で参考になる国が「世界でいちばん急がない国=ブータン」と言われている。中国とインドに挟まれた大ヒマラヤ山脈の南麓にある王国である。その第4代国王がGNHを発案し、国家理念に生かしていることが、今、世界中から注目されているのだ。
2008年度のGDPランキングが世界158位であるブータンは、農業以外に産業らしいものはない。資本主義に背を向けてきた国である。GDPで見ればブータンは世界最貧国だが、GNHで見ると9割以上の国民が「幸福」だという。
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