コラム
» 2010年06月21日 08時00分 UPDATE

ちきりんの“社会派”で行こう!:サッカーワールドカップが人気の理由 (1/2)

いよいよ開幕したサッカーワールドカップ。単一スポーツの大会にも関わらず、なぜ世界中の人たちが盛り上がっているのでしょうか。その理由を考えてみました。

[ちきりん,Business Media 誠]

「ちきりんの“社会派”で行こう!」とは?

はてなダイアリーの片隅でさまざまな話題をちょっと違った視点から扱う匿名ブロガー“ちきりん”さん(Twitter:@InsideCHIKIRIN)。政治や経済から、社会、芸能まで鋭い分析眼で読み解く“ちきりんワールド”をご堪能ください。

※本記事は、「Chikirinの日記」において、2006年6月9日に掲載されたエントリーを再構成したコラムです。


 世界中がワールドカップで盛り上がっていますね。単一スポーツの大会なのにオリンピックに匹敵、地域によってはオリンピックを凌駕するほどの人気を誇るサッカーのワールドカップ。なぜこんなに人気があるのでしょうか?

サッカーの人気がある理由

 まず、サッカーの人気がある理由を考えてみましょう。

(1)貧しくてもできる

 サッカーはボール1つあれば、グラウンドがボコボコの草むらでもプレイできます。野球やアメリカンフットボールはボール以外に道具が必要だし、テニスならコートの整地が必要です。プールが必要な水泳や、広大な敷地が必要なゴルフも、貧しい国で多くの人が楽しむことはできません。

 プレイするのにお金がかからないスポーツは、世界での競技人口が圧倒的に多くなります。お金がかかるスポーツを楽しめるのは世界で10億人くらいしかいませんが、貧しくてもできるスポーツなら全世界60億人が参加できます。また、「貧しくてもできる」だけでなく、「貧しくても勝てる」スポーツでもあり、南米やアフリカの国々から続々と“スタープレーヤー”が生まれていることも、世界中の人たちを熱狂させている1つの理由でしょう。

(2)ルールがシンプル

 ルールがシンプルで、審判がいなくてもプレイできることも、競技人口のすそ野拡大には重要です。野球はたとえ草野球のレベルでも、ストライクとボールをきちんと判定できる人がいないと試合になりません。ラグビーでは「前にパスすることは禁止」というルールがありますが、これを審判なしで判定するのは難しいでしょう。サッカーは「手を使わない」くらいしか重要なルールはなく、少しややこしいオフサイドのルールを採用しなければ、草サッカーなら審判なしでも試合が成り立ちます。

 また、ルールが分かりやすいと誰でもすぐに参加できるし、初めて見る人もすぐに理解して応援できます。加えてサッカーは、キーパー以外のプレーヤーのポジションが厳密に決まっていないこともあり、必ずしも各チーム11人揃わなくても何人からでも楽しめます。

(3)常に“動”で目が離せない

 これは観戦者側からの視点ですが、野球やテニスなど多くのスポーツには“静”と“動”があります。野球場は「巨大なビアホール」としても機能するほど、試合途中に「何の緊張感もない時間」が長く含まれます。複数のランナーが塁に出て初めて、「おっ」と思う程度ですよね。テニスでも緊張するのはサービス側がゲームを落としそうになった時だけでしょう。

 この点、サッカーには“静”モードがほとんどありません。“静”モードになど入ったら、すぐに相手に得点されてしまうでしょう。試合中ずっと“動”であることが求められるスポーツは、観客にとって「目の離せない」スポーツとなります。サッカーの場合、テレビを見ている時に「自分がトイレに行っている間にゴールが入ったらどうしよう」と思いますよね。野球やテニスなら、トイレにいくチャンスはいくらでも見つけられます。サッカーは常に緊張感を持続する、ドキドキワクワクできるスポーツなのです。

(4)欧州が植民地に普及させた歴史的背景

 「欧州諸国(主に英国)が自分たちの植民地に持ち込んだため、世界中に広まった」という歴史的な背景もあるでしょう。米国との歴史的つながりが濃い日本や韓国で野球が人気であることも同じですが、欧州諸国は一時期世界の大半を制覇していましたから、サッカーが野球よりも広く普及したのだと思います。

(5)米国が弱い(?)

 「米国が弱いスポーツだから、(米国以外の)世界中の人が好きなんじゃないか」とも感じます。例えば、欧州の人は、スポーツとしての魅力はさておき、アメリカンフットボールや野球を今から盛り立てる気にはならないでしょう。

 多くの人はスポーツに「最下層からのし上がるチャンピオンやスター」を求めており、現実の世界で軍事的にも経済的にも圧倒的に巨大な力をもつ米国が常勝するスポーツ大会より、誰が勝つか分からない大会を好む人の方がよほど多いのではないかと思います。

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