景気回復期待も一服で指数は小動き清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年06月18日 08時30分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10434.17△24.71

<NASDAQ>2307.16△1.23

<為替:NY終値>90.99-91.05

信用収縮は一段落だが、景気回復期待も一服で指数は小動き

 スペイン国債の入札が好調ということで、欧州金融不安は薄れ、リスク回避、信用収縮は一段落となったことから買い先行となったのですが、朝方発表された新規失業保険申請件数が予想に反して増加したこと、またフィラデルフィア連銀景気指数、5月の景気先行指標総合指数も予想を下回ったことなどが嫌気されて売られ、軟調な場面もありました。最後は景気の回復スピードが鈍化したことやインフレ懸念がないことから、超低金利が継続されるとの思惑もあり、買戻しが入り堅調となりました。

 指数は堅調となったのですが、景気回復にかげりが見られるとして景気敏感銘柄などは軟調となるものが多くなりました。ただ、景気後退、景気減速というほどでもなく、新興国の経済拡大の恩恵を受けるような企業などの業績を見直すような展開になれば、景気減速懸念も薄れ、再び景気回復、業績回復を織り込むものと思います。センチメントがまだ下向きということなのでしょうが、足元の業績を見直すような展開になれば、センチメントも上向くと思います。

 個別には高機能携帯電話の予約好調を受けてアップルが堅調、インテルやIBMなどハイテク銘柄は総じて堅調となりました。金融株は手仕舞い売りに押されて軟調なものが多くJPモルガン・チェースやバンク・オブ・アメリカなど軟調となりました。金先物価格が堅調となり、ニューモント・マイニングやパブリック・ゴールドなど金鉱株が高く、原油先物は戻り一服となりましたが、エクソン・モービルやシェブロンは高くなりました。個人消費の回復が遅れているのではないかとの懸念もあり、ホーム・デポやアメリカン・エキスプレスなど個人消費関連銘柄が軟調となりましたが、ウォルマートは堅調となり、景気減速懸念からアルコアなどは売られましたがキャタピラーやGE(ゼネラル・エレクトリック)など景気敏感株は堅調となるなど、景気減速を大きく取りざたしているわけもなさそうです。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国市場が冴えない展開となったこと、ユーロ安に加え、前日までの大幅高の反動もあり、上げ一服となりました。最後は10000円の大台を割り込みましたが、10000円を割り込む場面でも売り急ぐ動きはなく底堅さも見られました。売買高も相変わらず少なく、盛り上がりに欠ける展開となりましたが、信用収縮からの持高調整の売りも一段落となったようで、底堅い展開となりました。

 米国の景気回復懸念や欧州の金融不安は相変わらず強いのですが、リスク回避、信用収縮の動きは一段落となったようです。業績面からの見直し、売られすぎるようなところはしっかりと買われるというところで底堅い堅調な展開が期待されます。中国でのスト続発などの問題もありそうですが、「新興国」という括りで見た場合にはまだまだ経済の拡大は続いており、新興国の「生活水準向上銘柄」や「社会インフラ整備関連銘柄」など、ハイテク銘柄などは為替の落ち着きもあって堅調な展開が続くのではないかと思います。

 日経平均は10000円を割り込みましたが、「10000円水準」というレベルで考えれば10000円水準での底堅さを固める動きとも考えられ、本日も引き続き10000円水準での底堅さを確認するような展開になるものと思います。週末の手仕舞い売りに押されて10000円を大きく割り込む場面があっても、9800円〜900円水準ではサポートされるものと思われます。ただ、逆に上値を積極的に買い上がる材料にも乏しく、目先的には10100円台半ばから200円台半ばの水準が上値目処となり、その水準を抜ければ次の節目である10500円〜600円水準を目指すことになるのでしょう。

本日の注目点

◇5月の全国粗鋼生産

◇日銀金融政策決定会合議事要旨(5月10日、5月20−21日分)

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