インタビュー
» 2010年06月18日 08時00分 UPDATE

35.8歳の時間・石田雄太:なぜイチローは、この男に語り続けてきたのか (1/6)

マスコミに対し、あまり多くのことを語ろうとしない大リーガー・イチロー選手。しかしこの男には、なぜか語り続ける。『イチロー・インタヴューズ』の著者・石田雄太――。一流アスリートを追いかけ続けてきた男が、自分の過去を振り返った。

[土肥義則,Business Media 誠]

連載「35.8歳の時間」とは:

 35.8歳――。これはBusiness Media 誠の読者の平均年齢である(アイティメディア調べ)。35〜36歳といえば、働き始めてから10年以上が経ったという世代だ。いろいろな壁にぶちあたっている人も多いだろうが、人生の先輩たちは“そのとき”をどのように乗り切ったのだろうか。

 本連載「35.8歳の時間」は各方面で活躍されてきた人にスポットを当て、“そのとき”の思いなどを語ってもらうというもの。次々と遭遇する人生の難問に対し、時に笑ったり、時に怒ったり。そんな人間の実像に迫る。


今回インタビューした、石田雄太氏(いしだ・ゆうた)のプロフィール

1964年愛知県生まれ。青山学院大学文学部卒業。NHKに入局し「サンデースポーツ」などのディレクターを担当。1992年に独立し、スポーツ番組の構成・演出のほか、執筆活動を行う。主な著書に『イチロー、聖地へ』(文春文庫)、『イチローイズム』(集英社文庫)、『イチロー・インタヴューズ』(文春新書)、『桑田真澄 ピッチャーズバイブル』(集英社文庫)、『松坂大輔メジャー物語』(学習研究社)、『屈辱と歓喜と真実と――“報道されなかった”王ジャパン121日間の舞台裏』(ぴあ)など。


 イチロー選手は世界中にいる野球選手の中で、突出した存在だと思います。今の球界に、彼の領域に達した選手はほとんどいません。だからこそ、彼でなければ感じられないこと、彼でないと語れないことがあるんです。彼は、そういうものをボクに“体験”させてくれました。

 イチロー選手と同じ時代に生き、そしてジャーナリストとして話を聞くことができる――。この仕事を選んだからといって、簡単に味わうことのできない喜びを、彼には堪能させてもらっていると思います。

――ベースボールジャーナリスト・石田雄太。イチロー選手を10年以上追いかけている彼は、2010年4月に『イチロー・インタヴューズ』(文春新書)という本を刊行した。インタヴューに費やした時間は100時間以上。イチロー選手といえばメディアに対し、あまり多くを語ろうとしないイメージがあるが、なぜ石田には胸の内を明かし続けてきたのか。一流アスリートを追いかけてきた男に、迫った。

yd_ishida.jpg ベースボールジャーナリストの石田雄太氏

 小学3年生のときに父親に連れられて、大洋ホエールズと中日ドラゴンズのオープン戦を見に行きました。それが初めての野球観戦だったのですが、球場の熱気に圧倒されて、それからはプロ野球にのめり込みました。プレーすることよりも、観ることに興味をそそられたのです。フェンスの向こう側に選手がいて、その中に普通のおじさんたちがいた。そのおじさんたちが選手と親しげに話しているのを見て、「誰なんだろう?」と思ったんです。父親に聞いてみると、おじさんたちの正体は「記者」。すぐに「将来は野球の記者になりたい」と思いました(笑)。

 以降、「野球の記者になりたい」という気持ちは変わりませんでした。就職活動はスポーツ新聞をはじめ、球場に出入りできそうなマスコミ関係の会社をいくつも受けて、結果、NHKに内定をいただきました。入局後は、まず地方に勤務すると思っていたのですが、東京のスポーツ報道センターに配属されました。ディレクターとしてプロ野球やメジャーリーグ、大相撲などを担当させていただき、仕事が楽しくて楽しくて仕方がありませんでした。

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