前日までの大幅高の反動やユーロ安を嫌気して手仕舞い売りが嵩み軟調清水洋介の「日々是相場」夕刊(2/2 ページ)

» 2010年06月17日 16時19分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]
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明日の相場雑感

 欧州金融不安は薄れているものの、昨日までの大幅高の反動などから、軟調となりました。底入れ感が強まり、出遅れ銘柄や割安銘柄を物色する動きは続き、売り急ぐ展開にはならず底堅い展開となりました。それでもまだ金融不安や金融規制強化への懸念が完全に払拭されたわけでもなく、積極的に買いが入るようなこともなく、底堅いながらも上値の重い展開となりました。上値の重さを嫌気して売り急ぐ動きもなく、底堅さを確認して買戻しを急ぐでもなく、方向感のない展開となりました。

 「ダブルボトム」となったのかどうか、という見方がありましたが、昨日の上昇で「ダブルボトム」となったものと考えていいのだと思います。教科書的に言うと、「ダブルボトム」が完成するということは2つの底値の間の高値(「ネックライン」ということもあります)を抜けると「底入れ確認」となり、今度はその高値水準が押し目の目処となるということになります。今回の場合、日経平均で5月25日の安値9459.89円と6月9日の安値9378.28円が「ダブル」の底であり、その間の高値である6月4日の9962.42円を抜ければ「ダブルボトム」確認ということになるのです。

 ただ、チャートなどを見ると分かるように教科書とは違い、実際には「ダブル」の底値でも特に指数の場合は全く同じというわけでもなく、その間の高値も厳密に考えるよりは9800円〜900円水準が「節目」と考えて、この水準を抜けて「ダブルボトム」が確認され、10000円を割り込んでもこの水準で止まるのではないかと考える方が実践的ではないかと思います。チャートを見るときでもファンダメンタルズの指標でも「絶対」ということはないのですし、細かい「誤差」は許容しなければならないと思います。

 そうなると、どこまでが「誤差の範囲」なのかが問題となって来るのですが、ある程度はその場の雰囲気や過去の例、あるいは経験などから見ていくしかないと思います。「移動平均にサポートされる」といっても少し割り込んでもいいのか、どの程度までならいいのか、なども画一的に分類できるわけでもないと思います。結局は大きな流れを見て、誤差の範囲なのか相場が変わったのかにいち早く気がつくようになることが大切ということなのだと思います。

清水洋介氏のプロフィール

慶應義塾大学法学部卒。1983年に大和證券に入社、以来、マネックス証券などを経て現在リテラ・クレア証券で相場情報などに携わっている。営業やディーラーの経験を基に、より実戦に近い形でのテクニカル分析、市場分析に精通している。日本証券アナリスト協会検定会員、日本テクニカル協会会員。著書に『江戸の賢人に学ぶ相場の「極意」 』 (パンローリング)、『儲かる株価チャート集中セミナー』(ナツメ社)。清水洋介の「株式投資の羅針盤


※掲載されている内容は、コメント作成時における筆者の見解・予測であり、有価証券の価格の上昇または下落について断定的判断を提供するものではありません。


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