旬の高知へ、龍馬の高知へ――言葉と食の旅をしませんか郷好文の“うふふ”マーケティング(2/3 ページ)

» 2010年06月17日 08時00分 公開
[郷好文,Business Media 誠]

ダイニングへの旅

 いよいよ料理。説明に立つのは、同店を経営するアクアプランネットCEOの福政惠子さんと、総料理長の“旅するシェフ”小藤憲行さん。

 前菜は“土佐はちきん地鶏とフォアグラを高知茄子で包んだ香草風味のガランティーヌ”。標高800メートルの大川村の澄んだ空気と清流で育った地鶏を、皮も柔らかくてしっかりの茄子でぐるりとくるんだ。おいしい。そして“高知トマトのガスパチョ”がまたうまい。糖度の高いトマトをベースにしたガスパチョ、酸味が力強いのだ。

土佐はちきん地鶏とフォアグラを高知茄子で包んだ香草風味のガランティーヌ(左)、高知トマトのガスパチョ(右)

 「ビネガーは使っているんですか?」とcherryさんが小藤シェフに聞いた。

 「いえ、酸味はミカンを凝縮したソースで出しています」

 高知の夏野菜だけで作ったガスパチョ、「ほぉ、ミカンだけで酸味ですか!」とうなった。次なるまさに旬産の高知の鮎は、ビールの酵母で発酵させた生地に、四万十川のあおさのりと鮎の腸を練りこんだベニエ。鮎がこんなにうまいとは。

 土佐鰹は“日戻り鰹”(近海で疑似餌を使って一本釣りした)のあぶり。店にも夕刻に到着したばかりだという。極めつけは“生姜の衣をまとった土佐はちきん地鶏”のメインディッシュ。高知のショウガをスライスして、皮目に張り付けてカリッと香ばしくロースト。力強くてやさしい味だ。

 「高知料理は素材を生かすシンプルさが特徴です。生で食べる習慣が多いですから、ショウガやにんにく、ミョウガなど薬味で消毒して消化をうながして、しかも素材の味を引き出す。暑いところですから、滋養や発汗、体力を保持する上でも理にかなっているんですね」と小藤シェフ。欧州で2年も食材を訪ね歩いた小藤シェフ。高知でも人口数百人の村を訪ね、食材を探し、料理を創造した。

生姜の衣をまとった土佐はちきん地鶏

 日本酒司牡丹“船中八策”にも舌鼓。キリっと辛くて、でも芳醇(ほうじゅん)な香りだ。ほろ酔いの流し目で、龍馬の書を眺め、彼が船上で書いた“近代日本国家の選択”となった船中八策(大政奉還、憲法制定、不平等条約改定など8項目)に思いをはせた。彼らが献身して国作りをしたからこそ、私たちは今自由な国日本でうまいものが味わえるのだ。

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