マスコミは“白旗”をあげるべし! 官房機密費問題の副作用相場英雄の時事日想(2/2 ページ)

» 2010年06月17日 08時00分 公開
[相場英雄,Business Media 誠]
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バッシングの陰で

 筆者が小説や漫画原作執筆の合間にTwitterをのぞくと、フリーの気鋭ジャーナリストたちのつぶやきに対し、一般読者からの多数の賛同の声があがっている。マスコミの体質を知る身としては、ある意味当然のムーブメントだと考える。ただ、一般読者の投稿をみると、官房機密費や記者クラブの開放問題だけをとらえ、「既存マスコミはけしからん、マスゴミだ」などと感情的になり、主要マスコミ全体の報道を否定する向きが少なくない。筆者が一番危惧しているのはこのポイントなのだ。

 先に触れた「ごく一部の政治部ベテラン記者たち」が政治部のすべてではない。政局や派閥取材を嫌い、内外の政策の詳細を徹底的に取材し続ける生真面目な政策担当記者は少なくない。また、ベテラン記者の指揮の下、永田町を駆けずり回り、メモ作りに明け暮れる若手記者も多い(関連記事)。要するに、問題の病根はごく一部のベテラン、それも各社の上層部に登りつめた人たちなのだ。

 筆者は経済部出身であり、政治部のごく一部の「べったりだったおじさん達」のために、批判にさらされるのはまっぴらだ。社会部の記者、あるいは他の部署の記者も同じ様な感情を抱いている。冒頭で触れた通り、官房機密費の問題に関しては、批判の矢面に立たされている一部のマスコミ人の敗色は極めて濃厚だ。ただ、こうした一部の人たちのために、マスコミ界全体が不審な目で見られ、ひいてはこれが報道全体への不振感につながるのは、危険だというのが筆者の主張だ。

 Twitterを見ていると、ごくわずかだが現役記者が反論を試み始めている。各社上層部の“オジさん達”にTwitterの影響度の大きさを説明するのは骨が折れる作業かもしれないが、この際、これをオフィシャルのつぶやきに変えるべきタイミングにきているのではないだろうか。

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