業績面での見直しが入り大幅高清水洋介の「日々是相場」朝刊(1/2 ページ)

» 2010年06月16日 08時28分 公開
[清水洋介,リテラ・クレア証券]

<NYダウ>10404.77△213.88

<NASDAQ>2305.88△61.92

<為替:NY終値>91.44-91.5

欧州金融不安や金融規制強化懸念が薄らぎ、業績面での見直しが入り大幅高

 前日に銀行税や金融規制強化が見送られるのではないかとの見方もあり加えて、スペインなどの国債入札が順調に進んだことなどを好感して欧州金融不安、信用収縮懸念が薄らぎ、リスクマネーの回帰もあって大幅高となりました。住宅価格指数は予想を下回り、上値を押さえる場面もありましたが、逆に米国での超低金利継続や日本での資金供給を期待するように買いが入りました。新興国経済が大きく失速する懸念も薄れ、商品相場も堅調となったこともあり、買いが買いを呼ぶような展開になりました。

 「羹に懲りて膾を吹く(あつものにこりてなますをふく)」という状況であったものがヘッジファンドなどの持高調整の売りが一巡となったこともあり、一気に買いが入ったような格好です。これまでの上昇場面では金融株が高い、とか資源株が高いなどという物色の偏りもありましたが、ほぼ全面高となり、信用収縮の動きが反転、リスク許容度が上昇となったのではないかと思われます。引き続き、金融規制強化の動きには神経質な展開が続くのでしょうが底入れ感はかなり強まったのではないかと思います。

 個別にはこれまでの鬱憤をはらすように大幅高となるものが多く、特に2010年のパソコンの出荷台数が前年比2割増えると伝えられ、インテルやアップル、IBMなどのハイテク銘柄、マイクロソフトやヤフーなどのインターネット関連銘柄が総じて堅調、大幅高となるものも多く見られました。景気敏感銘柄も総じて堅調、キャタピラーが大幅高、アルコアやGE(ゼネラル・エレクトリック)も高くなりました。原油価格も上昇しエクソン・モービルやシェブロンも高く、安全資産としてではなく資源として金が買われたこともあり、パブリック・ゴールドやニューモント・マイニングなど金鉱株も高くなりました。個人消費の回復はまだまだこれから、ということもあり、ウォルマートやホーム・デポなどは堅調ながらも上値の重い展開でした。ボーイングは次世代中型航空機の生産台数を若干増やすと発表して買われ、大幅高となりました。

本日の相場

日経平均

 昨日の日本市場は米国株が冴えない展開となったことや外国人が売り越しと伝えられたこともあり、売り先行となりました。ただ、為替が落ち着いていることや信用収縮が一段落となったことから売り急ぐ動きもなく、底堅い展開となり、持高調整の売り買いが入る中で堅調となる場面もあり、結局は方向感のない展開でしたが案外値持ちの良い展開となりました。為替が落ち着けば底入れ感が強まり、金融不安に対する懸念も薄らぐようです。

 ユーロ高や米国株高を受けて買い先行となりそうです。欧州金融不安や規制強化懸念が薄れたことや、日本でも資金供給が潤沢に行われると示されたこともあり、ようやく好調な業績を織り込むような展開となって来るかもしれません。懸念されていた金融不安が先進国だけではなく、新興国の経済成長を鈍化させるのではないかとの懸念は薄れて来るものと思われ、ユーロ高で恩恵を受ける企業ばかりではなく、新興国関連銘柄なども幅広く物色されるのではないかと思います。商品相場も堅調なことから、大きく売られていた商社株や非鉄株なども買い直されるものと思います。

 昨日、9800円台を保ったこと、特に9900円近くで引けたことで底入れ感が強まったことに加え、米国株高もあり、10000円水準を目指すことになりそうです。10000円を超えての推移となるようであれば、5月27日と6月9日の底値で「ダブルボトム」となった可能性が強まり、今度は9800円〜900円水準、あるいは10000円前後の水準での底値固めとなり、一気に戻りを試すことになるものと思われます。目先的には10200円前後というところも節目になりそうですが、10500円から600円の水準を目指すことになるのでしょう。

本日の注目点

◇4月の第3次産業活動指数(経産省)

◇6月の金融経済月報(日銀)

◇20年物国債〔6月債〕入札

◇香港、台湾株式市場が端午の節句で休場

◇5月の米住宅着工件数

◇5月の米卸売物価指数

◇5月の米鉱工業生産設備稼働率

◇バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長講演

◇海外3−5月期決算:フェデックス

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