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» 2010年06月16日 08時00分 UPDATE

フセイン・チャラヤン初の大規模個展 (1/2)

6月20日まで、東京・木場の東京都現代美術館にて、ファッション・デザイナーでアーティストでもあるフセイン・チャラヤンの個展が開かれている。個展が日本で行われるのは今回が初めて。

[草野恵子,エキサイトイズム]
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※この記事は、エキサイトイズムより転載しています。


 6月20日まで、東京・木場の東京都現代美術館で、ファッション・デザイナーでアーティストでもあるフセイン・チャラヤンの個展が開かれている。日本国内では2007年に東京都現代美術館で行われた「SPACE FOR YOUR FUTURE」展や、国立新美術館で行われた「スキン+ボーンズ」展にも参加したことがあるチャラヤンだが、個展が日本で行われるのは今回が初めて。本展はロンドンのデザイン・ミュージアムにて2009年に開催された「Hussein Chalayan-from fashion and back」の巡回展となる。

 展覧会では1994年から2009年までに発表されたファッションコレクションに加えて、映像作品やインスタレーションをあわせた約24点の作品を展示。15年間の彼のキャリアを追うことができる。

エキサイトイズム 「111」2007年春夏 photo: Chris Moore

 1970年生まれのフセイン・チャラヤンのキャリアのスタートは、ロンドンのセントラル セントマーティンズ カレッジ オブ アート アンド デザインでの卒業制作作品「逸脱する流れ」(1994年)から。それは鉄の小片で覆ったシルクのドレスを、数カ月間、土に埋めて掘り起こしたもので、後にロンドンのセレクトショップ「ブラウンズ」のショーウィンドウを飾り、彼の名を広く知らしめるきっかけとなった。同展では入ってすぐの場所で目にすることができる。

 「アートとデザインを分けて考えることはありません」と明言するフセイン・チャラヤン。その言葉どおり、アーティスティックな試みが、ファッションの現場、数々のコレクションで展開されてきた。例えば、自動的に形態を変化させていく機械仕掛けのドレス「111」(2007年春夏)や、スカートが円形のコーヒーテーブルに変化する「アフター・ワーズ」(2000年秋冬)など。突拍子もないような実験的試みではあるが、一方で、機能としての「服」の存在意義を捉え直す意味合いも持つ。あらためて、それらの映像や展示を会場では確認することができる。

 会場では、これまでなかなか観る機会のなかった映像作品をまとめて観ることができる。中でも5つのマルチスクリーンで展開されている2作品は要注目だ。デレク・ジャーマン映画の常連で、いまやハリウッドでも引っ張りだこの女優、ティルダ・スゥィントンが生物学者を演じる「不在の存在」(2005年)では、さまざまな人種から採取されたDNAサンプルから外見を割り出すという架空の実験過程を描き出す。南北に分裂したトルコ・キプロスの国境地帯で生まれ育ったチャラヤンは、「自分が何者であるか」ということについて、つねにシリアスに向き合ってきた。それはいまなお分断された世界に対する批評にもつながってくるのだが、そういった思想を一編の美しい詩のような力強さで、われわれに訴えかけてくる。

 また、デジタルデザイナーのニュートラルとコラボレーションした映像作品「場から旅路へ」(2003年)では、国境=境界線を軽々と越える未来的な流線形の乗り物と、それに乗るひとりの中性的な女性を描いている。これは、もともとチャラヤンがレーシングカーのヴィジョンを思い描いたところから着想を得ており、その後、実際にF1レーシングチームを視察し、同様のモデリング技術を使ってポッド型の乗り物を造り上げて完成させたもの。映像では、乗り物が地下駐車場からスタートして、広大な大地を高速で移動する不思議な浮遊感の「旅」を展開する。「映像作品は、ぜひ最初から最後まで観てほしい」とは、チャラヤン本人の言葉。いわれなくても、目を奪われること間違いなし。

エキサイトイズム 「場から旅路へ」2003年 映像作品 (C)hussein chalayan / neutral 2003
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